妊娠20週前後の妊婦に、『母親の歌声を聴かせる、オルゴールを聴かせる、CDの音楽を聴かせる』などの音楽胎教を行ってもらい、出産後4日以内に新生児の脳内神経活動を近赤外光脳機能測定装置を使用して計測した。また、それらの新生児の半年および1年後の状況について、それぞれアンケートを取るとともに、発達スケールによる心理テストを行った。 母親の歌声の聴取およびオルゴールの聴取については、新生児の脳内神経活動は沈静化する傾向が強いという結果となった。このことから、多くの胎児は母親の歌声やオルゴール音を認識し、出産後それらの音を聴取した際に、心地よい感情を持っていることが読み取れた。 また、デジタル音(CDやICレコーダー)についての反応は、脳内活動が活性化する場合が多かったが、これは、新生児が心地よく感じていないのではないかと推察される。しかし、母親の歌声で、脳内活動が活性化している場合や、デジタル音で脳内活動が沈静化している場合など個による相違もみられた。これは、母親の音楽的嗜好、音楽胎教への関わり方も影響しているのではないかと考えており、現在分析調査中である。 また、半年後および1年後の乳児の近況についてアンケート調査を行ったが、70%以上の母親が胎教の効果があったと回答しており、具体的には、『夜泣きが少ない(全体の40%)』や『子育てがしやすい(全体の36%)』などの結果となった。発達スケールの結果についても、平均的な生活年齢1歳の乳児を1歳として、音楽胎教を行った乳児は1.2歳となり、音楽胎教をすることにより心身の発達が促されることが明らかになった。 以上から、妊娠20週前後から音楽胎教を行うなど音楽的環境に恵まれた乳児は心身の発達が早いこと、デジタル音は問題があるのではないかと推察されること等、これからの音楽胎教のあり方を考えていく上で、意義深い結果となった。
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