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2011 年度 実施状況報告書

幼児向け環境教育施設の環境条件―スウェーデンの野外環境教育にならって―

研究課題

研究課題/領域番号 23531079
研究機関文京学院大学

研究代表者

森下 英美子  文京学院大学, 人間学部, 研究員 (40565545)

研究分担者 中山 智晴  文京学院大学, 人間学部, 教授 (70207950)
小栗 俊之  文京学院大学, 人間学部, 教授 (80306381)
酒井 聡一  文京学院大学, 人間学部, 研究員 (90449322)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード野外環境教育 / 幼児 / ムッレ / スウェーデン / 教育施設 / 環境条件
研究概要

本研究は、スウェーデンで発祥した野外環境教育「森のムッレ教室」を対象として、日本国内で野外環境教育を広く導入できる可能性の追求と教育プログラム開発・展開を行うことを目的として実施している。 本年度は、野外環境教育先進国スウェーデンの幼児教育施設5か所を訪問し、周辺の環境特性および実施されている保育の観察調査を実施した。環境特性については、活動場所の非生物的環境潜在力(対象地域の無機的環境条件:地形、土壌、水環境、大気環境など)と生物的環境潜在力(対象地域の周辺に成立しうる生物相)を、生物的環境(高い、低い)と非生物的環境(高い、低い)の各カテゴリーに分け、実施されている活動内容、活動プログラム、各環境の利用時間を記録した。 訪問調査を実施したのは、郊外にあり1日中野外で過ごす野外環境教育を実践している保育園、郊外にあるが野外環境教育を取り入れていない保育園、市街地にあり野外環境教育を実践している保育園、市街地にあり野外環境教育を取り入れていない保育園等であり、多様なタイプの保育園を訪問して調査するよう努めた。 タイプの異なる保育園を観察した後、調査参加者によるフォーカスグループインタビューを実施し、野外環境教育実施時の子どもたちの様子や保育士のかかわり方、自然環境で過ごす効果、プログラムの効果等について話し合い、日本およびスウェーデンの現状や日本での普及の課題について検討した。これらの調査結果の解析を行い、次年度の日本野外教育学会大会にて発表を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、先進的な野外環境教育の観察調査を実施し、環境条件を抽出することが主な目的であった。この目的に従い、野外環境教育先進国スウェーデンの幼児教育施設5か所を訪問し、周辺の環境特性および実施される保育の観察調査を実施した。環境特性については、活動場所の非生物的環境潜在力(対象地域の無機的環境条件:地形、土壌、水環境、大気環境など)と生物的環境潜在力(対象地域の周辺に成立しうる生物相)を、生物的環境(高い、低い)と非生物的環境(高い、低い)の各カテゴリーに分け、実施されている活動内容、活動プログラム、各環境の利用時間を記録した。 調査後には、調査参加者を対象にしたフォーカスグループインタビューを実施した。野外環境教育の子どもへの効果の高さは素晴らしく、幼児教育の専門家でもある調査参加者からは、、野外環境教育には身体能力や内臓、脳の発達につながる要素が含まれていることが確認された。しかし当初想定していたよりもスウェーデンでの野外環境教育の普及は進んでおらず、スウェーデンにも課題のあることがわかった。さらに日本の社会的背景の現状から、日本の幼児教育の中に野外環境教育を普及するのは、保育者の育成が簡単ではないことから急速には進められないであろうと考えられた。従って、すでにある幼稚園をモデル園とし、効果の高さを示すところから始めるべきであろうという結論に達した。以上のように観察調査だけでなく、フォーカスグループインタビューを用いた質的分析により、日本国内で野外環境教育を広く導入できる可能性の検討の実施などが追加され、おおむね目的が達成できていると考えられる。

今後の研究の推進方策

次年度は、スウェーデン調査から分析された野外環境教育の効果を有効に活用できるような条件が日本国内の幼児教育施設にあるかどうかを検討したい。第一に幼児教育施設の地理的分布データを用いて周辺自然環境についての調査をGISを用いて解析する。野外環境教育の場として適切な環境が幼児教育施設の近く、幼児が徒歩で行くことのできる範囲にどのくらいあるかを検証する。これにより、幼児教育施設の野外環境教育に適する度合いをタイプ分けし、個々のタイプに適した野外環境教育の在り方をさぐる。日本国内で非生物的環境潜在力と生物的環境潜在力の抽出を行うために、次年度はGISデータの購入及び解析の実施が主な研究活動となる。また、GISで抽出された環境およびそのタイプ分けが実際の環境と合致しているかを確認するために、日本国内の幼児教育施設に実際に訪問しての観察調査も並行して実施する。日本国内の調査においても、活動場所の非生物的環境潜在力(対象地域の無機的環境条件:地形、土壌、水環境、大気環境など)と生物的環境潜在力(対象地域の周辺に成立しうる生物相)を、生物的環境(高い、低い)と非生物的環境(高い、低い)の各カテゴリーに分け、実施されている活動内容、活動プログラム、各環境の利用時間を記録していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は、主にGISデータの購入及び解析。日本国内の幼児教育施設の観察調査に使用する予定である。物品費として、GISデータ、図書等の資料、地図、分析図の出力の費用等が挙げられる。また膨大なデータを保存するための記録媒体の購入を予定している。国内外の資料の収集を計画しており、翻訳を含む資料整理のための人件費の支出を予定している。さらに、日本国内の幼児教育施設にて観察調査を実施するための旅費の支出を予定している。以上の研究に関して、研究分担者との分析結果検討会議を数回計画している。

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公開日: 2013-07-10  

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