研究全体の流れとして、初年度の平成23年度には、メディア情報リテラシー(MIL: Media and Information Literacy)をベースにした【接続期】スタートプログラム「メディアであそぼ!(Fun with Media!)」を構築した。本プログラムは、先年の萌芽研究から、更にメディアの「受け手・使い手・作り手・送り手」の関係性を強化した。平成24年度には、本プログラムに準拠した映像教材を制作した。同年、本プログラムの【接続期前期】において、大学附属幼稚部の年長児クラスを対象に、タブレットを活用した表現活動をピア・グループで実践した。平成25年度には、【接続期前期】からの継続協力で、大学附属初等部の小学1年生クラスを対象に、【接続期中・後期】における発展実践として、個々でタブレットと最新アプリの操作を体得し、ピア・グループでメディア作品の企画・構成・制作・発表を行った。最終年度の平成26年度では、前年度に分析した【接続期前期】に加えて、【接続期中・後期】の実践データを解析した。その結果を8月に国際学会(ICoME2014 韓国)で口頭発表した。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果を、以下の観点からまとめる。①MIL教育の視点から、本プログラムにおいて、最新メディアを活用し「受け手・使い手・作り手・送り手」全てを一貫して体験できたことは、実践に参加した幼児期と児童期の子どもたちに、「メディアは構成されている」「メディアは『現実』を作っている」MILの基本概念を感覚的に気づく重要な契機になっていた。②幼児教育の観点から、本プログラムでは、メディア表現活動を通して、幼小連携カリキュラムの3つの軸である、自己と社会性の育ち、学びの芽生え、協同性の育ちの一助となっていた。本プログラムの実践結果から、今後プログラムの汎用化の可能性が示唆された。
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