研究課題/領域番号 |
23531083
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
福本 みちよ 玉川大学, 通信教育部教育学部, 准教授 (40387410)
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キーワード | 学校評価 / 学校支援 / ニュージーランド |
研究概要 |
本研究の目的は、学校評価と連動した学校支援システムの開発にある。現在わが国の学校評価システムは、文部科学省「学校評価ガイドライン」(平成22年改訂)を基盤として運用されている。このガイドラインにおいて、「設置者等による学校に対する支援」は学校評価システムの一要素として位置づけられながらも、その定義・内容・手法・期待される効果等は明確にされておらず、実施主体に一任されている。その理由は、学校支援に関する研究成果の蓄積が浅く体系化が困難なことにあり、学校支援の必要性は認識されていても、そのシステム開発は途上であると言わざるを得ない。本研究では、この現状を改善し学校評価を有効に機能させるために、学校評価と学校支援を同時並行的に開発してきたニュージーランドを先進事例として、日本における学校支援のシステム開発に取り組んでいる。具体的には、本研究では学校評価と連動した学校支援システムの開発に必要な要素として、①学校に対する「支援」の理論の整理、②学校側の支援に対するニーズの分析、③学校支援の手法の類型化と費用対効果の分析、④学校支援者に求められる力量の分析と支援者養成プログラムの開発、の4点を設定し、研究に取り組んでいる。 23年度は「支援」についての理論の整理を中心に研究を行った。これを踏まえ24年度は、第一に先行事例としてニュージーランドにおける学校支援モデルの分析を行った。具体的には、①「学校支援」実施主体(実施者)、②被支援者、③支援内容、の観点から「学校支援」の類型化を試みた。第二に、日本における学校支援の実施実態の把握として横浜市教育委員会による学校支援を事例として、学校支援の実施実態の把握に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「平成23年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書」に記載した通り、24年度は①ニュージーランドにおける学校支援モデルの分析、および②日本における学校支援の実施実態の把握として横浜市教育委員会による学校支援の現状分析に取り組んだ。②について、交付申請書においては他の自治体も先行事例として研究対象としていたが、プレ調査を行ったところ「先行事例」には適さないことが判明し、再度研究対象を設定する必要性が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
23・24年度の研究をふまえ、最終年度である25年度は①学校支援実施者に求められる力量の検証と、②学校支援実施者養成システムの開発に取り組む。具体的には、①対象自治体で展開されている学校評価および学校組織マネジメントに関する各種研修内容とそこで期待される研修成果を分析し、②「学校評価の体制づくりのための支援」および「学校改善のための支援」の観点からそれらを分類する。さらに、③それらを「学校支援者養成」という観点から再構築し、学校支援者に求められる力量形成のために効果的な学校支援者養成プログラムの開発を試みる。最後に、学会発表を通じて研究成果の公表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度に予定していた国内の先進的自治体の学校支援に関する取り組み実態調査については、対象を再設定する必要性が判明したため、これを25年度に繰り越し実態調査を改めて行う。そのため、必要経費も繰り越すこととした。一方、24年度に実施した横浜市教育委員会の指導主事による学校支援への取り組みの検証は、想定以上の展開が実施されていることがわかり、これについては25年度においても引き続き調査を実施する。また、ニュージーランドの学校支援システムが2013年1月より大きくシステム改編されることがわかったため、25年度に再度現地調査を行う。
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