研究課題
平成25年度は、以下のような手順で研究が進められた。(1)定期的に研究会を開催し、各自が研究している「養護性」や沖縄県の児童福祉・社会的養護に関する報告を行った。(2)5月の日本保育学会大会では、23年度に実施した50代保育士調査(沖縄県内の児童養護施設で働く現役保育士へのインタビュー)と22年度の70代保育士調査(同じ沖縄県内の児童養護施設で働いていた元保育士へのインタビュー)をもとに、「養護性」に関する比較結果を報告した。70代には、複数の他者との関係性や幼少期からの手伝い・年少児の世話といった直接的な体験から育まれた「養護性」が見られたが、50代のそれは、学校教育から得た知識や間接的な被養護体験に基づいて形成されたという相違が認められた。(3)7月には、中国・上海で開催された第65回OMEP(世界幼児教育機構)世界大会において、研究代表者と連携研究者とが、2011年3月に津波の被害に遭った東北地方の保育所保育士の語りをポスター発表として報告した。保育士たちの語りからは職業倫理に裏づけられた高い「養護性」と他者との関係性の強さが見いだされたが、それは自分自身が困難な状況にありながらも他者をケアするという沖縄の施設保育士と共通する特性であった。(4)11月には、沖縄県在住の30代施設保育士と70代の保育所保育士6人を対象にインタビューを実施し、県立図書館で沖縄県の児童福祉関連資料を収集した。この調査では、いままで実施してきた70代元施設保育士や50代現役施設保育士との世代間比較を目標としていたが、一定期間勤務を継続している対象者が3人しかみつからず、残念ながら3世代比較は断念した。(5)平成26年3月には、この3年間にプロジェクトメンバーが学会誌や学内紀要に発表した論文を掲載した研究報告書を作成し、調査協力者・紹介者や関係者に配布した。
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保育士養成研究
巻: 第31号 ページ: 67-76
東京家政大学人間文化研究所紀要
巻: 第8集 ページ: 27-38
実践・困難・養護性―保育所・施設保育士の語りと経験―
巻: 科研費による印刷・刊行 ページ: 65-82
日本オーラル・ヒストリー研究
巻: 第9号 ページ: 64-80