研究課題/領域番号 |
23531086
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
高野 和子 明治大学, 文学部, 教授 (30287883)
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キーワード | 教員養成 / 「質保証」 / 地域 / 大学 / 地域教員養成機構 / イギリス |
研究概要 |
1.本研究は、教員養成の「質保証」システムとして、イギリスにおける地域教員養成機構(ATO=Area Training Organizations)が実際にどのように機能していたのかを、歴史的に検証しようとする4カ年の計画である。 2.本年度は(1)イギリスにおける教員養成の「質保証」システムの戦後史について概説的におさえること、(2)ATO廃止(1975年)からそれに替わる組織としての教師教育認定委員会(Council for the Accreditation of Teacher Education=CATE)設立(1984年)の間についての文献収集・聞き取り調査を行うこと、を重点とした。 (1)については、その成果の一部を学会発表した。 (2)については、1960年代初めから80年代半ばまでの行政文書を検索し、時代背景(養成課程入学者数などの統計;当時課題となっていた教育行政上の問題)を把握した。ATO廃止を理解するためには、これまで十分な注意を払ってこなかった1969 年教員養成規則改正,及び教員養成・供給審議会の動向が重要であることが明らかになった。また、CATE設立初期の議事録を調査し、CATEが1970年代末以来の勅任視学官による諸調査をふまえると同時に、委員会として独自にサンプル的に選んだ大学の訪問調査を実施していたことなど、「質保証」システムの一部をなす教員養成課程認定の制度形成のプロセスを実証できる資料が存在することを把握した。あわせて、初代CATE議長であった(10年間在職)Sir William Taylorへのインタビューを実施した。氏のもとでCATEが示したaccreditation/ validation/ administrative approvalの区分について、 起草過程の説明を受け、1972年の教育白書をふまえた記述であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の申請から計画を変更し、Sir William Taylorへの聞き取りを中心とすることとした。しかし、収集した氏の著作について読み込んで、教員養成における大学の役割及びATOシステムに対する氏の議論の展開を整理することが十分できておらず、十分に深めた聞き取りとできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)イギリスにおける教員養成の「質保証」システムの戦後史を概説的におさえることについて、2012年度に進めた作業を完結させる。 (2)Sir William Taylorの著作について整理・分析をすすめ、それをふまえて、ロンドンATOの1970年代前半の機能状況、それとの関連で、氏がCATE議長として導入した新たなシステムに込めていた期待、についてインタビューを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
イギリスへの調査研究旅費を主とし、関連文献・書籍の購入・コピーに支出する。イギリスでのインタビューに際しては、Sir William Taylorから録音を許されていないため、通訳及び記録に海外研究協力者である西田幸代氏を依頼し、それに関連して通訳・専門的知識の供与の謝金を支出する。
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