研究課題/領域番号 |
23531088
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研究機関 | 日本教育大学院大学 |
研究代表者 |
吉良 直 日本教育大学院大学, 学校教育研究科, 教授 (80327155)
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研究分担者 |
北野 秋男 日本大学, 文理学部, 教授 (50169869)
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キーワード | 若手教育者養成 / ティーチング・アシスタント / 大学教員準備プログラム / FD / アメリカの大学 |
研究概要 |
平成24年度には、過去の科研費研究の成果を発展・深化させ、比較分析手法の開発と若手教育者養成制度の全貌の解明を目的として、2度の訪米調査を実施した。第一回目の訪米では、研究代表者の吉良直と研究分担者の北野秋男が、8月下旬から8日間の日程で訪米し、コネチカット州ニューヘブン市でエール大学、ニューヨーク市でコロンビア大学を訪問し、面談と図書館での情報収集を行った。特にアイビー・リーグに名を連ねる名門のエール大学では、主として大学院生の教育力養成のために学内サービスを提供しているGraduate Teaching CenterのディレクターであるDr. W. Randoとセンターのスタッフと面談して、トップレベルの研究大学における若手教育者養成制度に関して有意義な情報収集と意見交換を行った。 第二回目の10月の訪米では、研究代表者の吉良が、24~28日にワシントン州シアトル市で開催されたアメリカをベースとして高等教育機関の授業改善や組織改革を推進してきた国際的FD学会であるProfessional and Organizational Development Network in Higher Education(以下「POD」と略す)の第37回年次大会に参加した。大会中に、FDの文脈の中でプレFDと位置づけられる若手教育者養成制度の実態に関する発表に参加し、主要な発表者と面談し最新情報を収集するとともに、マサチューセッツ大学アマースト校のFDセンター長でPOD元会長でもあり、本研究に関して助言を下さっているDr. M.L. Ouellettと本研究について意見交換を行った。 国内では、6月に九州大学で開催された比較教育学会で研究成果の一部を発表した。さらに、12月に東北大学で開催された大学教員準備プログラムで、段階的な若手教育者養成制度に関する研究成果を基に招待講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、アメリカの研究大学における大学院生のための先進的で段階的な若手教育者養成制度の理念と実態の解明を目的とする。具体的には、学士課程教育、大学院教育の改善といった高等教育改革の視点から、ティーチング・アシスタント(以下、「TA」と略す)制度、TA養成制度、そして大学教授職を目指す研究大学の大学院生のための大学教員準備プログラム(Preparing Future Faculty、「PFF」と略す)を含む若手教育者養成制度の理念と実態を多角的・構造的に明らかにし、最終的には日本への提言をまとめることを目指している。本研究では、第一に、全米規模の組織や財団の担当者や重要な役割を果たしてきた大学の教職員との面談、並びに文献レビューを通して、TA養成に特化したTADからGSPDと呼ばれる段階的な若手教育者養成制度へと移行した過程とその実態を解明すること、そして第二に、TA制度、TA養成制度、PFFを含む大学院生のための若手教育者養成制度の実態を解明し、これまでの研究で着手してきた大学間のプログラムの比較分析手法を開発することを目的としている。 第一の段階的な若手教育者養成制度へと移行した過程とその実態解明に関しては、平成24年度にアイビー・リーグに名を連ねる名門のエール大学を訪問し、エリート研究大学の実態を調査でき、PODにも参加し、情報収集を行うことができたため、順調に進展していると言える。第二の大学間の比較分析手法の開発に関しては、教授・学習センターの活動が、大学内の改革や不況による予算削減による人員削減等によりかなり変化することが分かってきたので、当初計画していたような完成度の高い分析手法の開発は困難となっている。しかし収集した情報を基に、上記の事情を考慮して、どのような分析手法を開発できるかを検討している最中である。総括すると概ね順調に進展しているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、本研究では、第一にTADからGSPDと呼ばれる段階的な若手教育者養成制度へと移行した過程とその実態の解明、第二に大学教員を目指す大学院生に提供されるプログラムやサービスの大学間の比較分析手法を開発することを目的としている。今後の研究の推進方策は、平成25年度は平成23年度からの3年間の研究の最終年度となるため、これまでの研究成果をまとめ、国内外の学会等で発表し、最終報告書をまとめることである。具体的には、平成25年6月初旬には、東北大学で開催される大学教育学会で研究成果の一部を発表し、平成26年3月中旬には、カナダのトロント市で開催される、北米の比較国際教育学会(Comparative and International Education Society, CIES)で、研究成果の一部を英語で発表する予定である。さらに、平成26年1月から2ヶ月の間に、本研究に関して海外から助言をいただいている、元POD会長のDr. Mathew L. Ouellettが名古屋大学の客員研究員として訪日するため、本研究について意見交換を行う予定である。Dr. Ouellettとは、過去のPOD参加時に、本研究に関して助言をいただき、また情報交換を行ってきている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、平成23年度からの3年間の研究の最終年度となるため、その集大成として、様々な形で研究成果を発信していく予定なので、国内外の学会参加のための旅費が必要になる。具体的には、平成26年3月中旬にCIESに参加し研究成果を発表する予定なので、海外旅費が必要となり、国内の大学教育学会等にも参加するための国内旅費も必要となる。さらに、先行研究の分析を継続するための消耗図書・文具代等の物品費と、これまでの研究成果を報告書の形でもまとめる予定なので、その印刷費、郵送費も必要になる。
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