本研究は退職養護教諭を活用した新規採用養護教諭研修の現状を把握することで、課題を明らかにし、改善に向けた提言を行うものである。4年間の研究では、以下のステップですすめた。 第1段階(1年目):<課題把握>新規採用養護教諭研修(以下、新採研)の計画上の課題を捉えるために、全国の教育委員会の研修運営担当者より、自治体毎に行われている研修情報を集約した。また、受講者や研修指導員の抱える課題を得るために、新採養護教諭3名と指導者6名から、実施上の課題や効果を聞き取った。 第2段階(2年目):調査結果より①新採研の指導をする研修指導員が不足している、②指導者は新採研を指導することに不安を抱いている、③研修指導員への研修機会が十分行われていない、などの問題点が浮き彫りになった。そのことから、研修指導員が活用できるマニュアルを作成するための試案の作成に向けた検討をした。 第3段階(3年目):静岡県の新採研指導者の協力を得て、理想的な新採研プログラム(試案)を完成し、1年間にわたり実施するとともにその効果を検証した。 第4段階(最終年度):1年間の実践から得た評価をもとに、修正・追加等の改善を加えた修正版を作成し、最終年度の1年間で検証しプログラムの原案を完成させた。 以上の経緯を経て、新採研の研修指導員が使用できるプログラム案を作成した。新採養護教諭の力量によっては指導目標や指導内容を変更する必要もあり、最終的には研修指導員の裁量に任せるべきであるとの結論に至った。しかし、養護教諭として勤務していた者が、退職と同時に新採研指導者となるには事前の研修等が重要で、そのための支援体制の整備は喫緊の課題である。これらの課題を解決するためにも、我々が作成した新採研指導プログラムの活用が有効になると思われる。今後はこれらのプログラムや調査の中で得られた多くの資料を配付していくための準備をしていく。
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