研究課題/領域番号 |
23531092
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
長瀬 美子 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50247889)
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研究分担者 |
小谷 卓也 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (50411484)
田中 伸 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (70508465)
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キーワード | 国際研究者交流 |
研究概要 |
「観察」「コミュニケーション」という二つの技能を軸とした幼児期から児童期に渡る科学教育のカリキュラムの開発に向け、当該年度は基礎データの収集、教育内容の選択と構成、カリキュラム試案の作成にとりくんだ。 ①基礎データの収集について:幼稚園・保育所のあそび、小学校の生活科の授業を対象に、幼児・児童の活動と学習を観察・記録・分析した。カリキュラム試案の作成と連動して、連続的・発展的な教育内容を選択し、あそびと学習を比較・考察した。その結果、幼児と児童では「観察」技能、「コミュニケーション」技能の両方について、独自性のある方法を実施していることが明らかになった。「観察」については、児童により多面的な観察の様子が見られた。「コミュニケーション」については、児童にも幼児に特徴的な「行動を通してのコミュニケーション」は見られるものの、徐々に言語を主としたコミュニケーションへ移行することが明確になった。 ②教育内容の選択と構成、カリキュラム試案の作成について:カリキュラムを構成する主たる教育内容の選択を行った。①での観察・考察結果から、これまで獲得した技能を活用してさらなる探究活動が可能となる教育内容として、「水に溶けるもの溶けないもの」「水に浮くもの沈むもの」に着目し、単元構成を作成した。このことにより、最終年での幼児期から児童期に渡る科学教育のカリキュラムの骨子は作成できたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年での幼児期から児童期に渡る科学教育のカリキュラム作成に向けて、基礎的な資料の収集とカリキュラムの基本構造は作成できたと考えている。 中でも、幼児・児童の活動と学習の観察・記録・分析を通して、幼児と児童では「観察」技能、「コミュニケーション」技能の両方について、独自性のある方法を実施していることが明らかになったことで、幼児期から児童期に渡る科学教育の系統性と発展性が明らかになり、カリキュラム作成に明確な見通しが生まれた。 加えて、試案として、「水に溶けるもの溶けないもの」「水に浮くもの沈むもの」の単元構成を考察したことで、これまで獲得した技能を活用してさらなる探究活動が可能となる教育内容の特定についても進行したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
幼児期から児童期に渡る科学教育のカリキュラムを作成するとともに、その成果発表・研究を行う。このことにより、幼稚園・保育所の教育・保育における「領域」と小学校における「教科」をつなぎ、スムーズな接続のための連携体制づくりへ寄与する。 カリキュラムの作成:前年度、抽出内容で行った単元構成をさらに総合的に行い、幼児期から児童期の5年間に渡るカリキュラムを作成する。その作成過程において、作成した試案にもとづく教育を幼稚園・小学校で行い、その妥当性と精度を検証・修正する。また同時に、内外研究者との交流を通して、有効性を検討する。 成果発表:開発したカリキュラムについて成果発表を行い、シンポジウム形式で内外の研究者との研究交流を行う。その際、カリキュラムの妥当性・有効性について検討を進めるとともに、評価視点を作成し、効果測定を可能にする。
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次年度の研究費の使用計画 |
①成果発表・研究交流のためのシンポジウムに伴う講師謝金・交通費:これまでのLawrence Hall of ScienceのKimi Hosoume氏の研究グループとの研究連携を基盤に、他の内外大学・研究機関からシンポジストを招聘し、シンポジウムを開催する。 ②資料・データ収集・整理のためのアルバイト謝金 ③研究会のための会議費用:他大学・機関の研究者とカリキュラム作成過程で研究会を行う。その際の会議費用及び交通費として使用する。 ④研究成果の発表:アメリカ合衆国全米科学教師協会(NSTA)など、国内外の研究大会・学会に発表する。その際の旅費・参加費として使用する。
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