研究課題/領域番号 |
23531094
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
大橋 喜美子 神戸女子大学, 文学部, 教授 (10353020)
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研究分担者 |
三宅 茂夫 神戸女子大学, 文学部, 教授 (10369738)
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キーワード | 教育学 / 保育学 / 幼保一体化 |
研究概要 |
国の保育施策としての幼保一体化の推進がされる中、日本の子どもがどの施設においても平等で生活しやすい保育を受けることが出来るよう、乳幼児の育ちを中心とした保育カリキュラム・モデルの構築が急務である。その第一段階としてアンケート調査を実施し、第64回日本保育学会において報告した。その結果から、第65回日本保育学会では、保育士・幼稚園教諭(以下、保育者と示す)からみた相互間・当事者の保育所・幼稚園のイメージと保育の計画性についての差異に着目し、保育の質の向上につながる今後の研究の基礎資料としての「保育の計画性」に関するアンケート調査の回答は、4段階評価で実施し、「ア。とてもそうである」に着目して報告を行なった。 保育の計画性に関する質問項目のうち、⑤環境の構成⑥保育の計画の評価・反省では、「季節の変化に応じた環境構成をしている」の1項目を除いて双方に有意性はみられず、そこでは幼保共に意識の高さが伺われた。同時に保育の計画性におけるアンケート調査結果では、幼稚園に有意性が高い項目が12項目であったのに対し、保育所に有意性が高い項目はゼロであった。こうしたことから、幼稚園と保育所を比較すると保育の計画性では、幼稚園教諭に実施されている傾向にあった。 日本保育学会第66回大会で発表した、幼稚園と保育所(園)相互間のイメージでは、保育所(園)については、生活・養護の域の回答が多く見られ、幼稚園は教育の場としたイメージが強く見られた。 今後、こうした幼稚園、保育所(園)、認定子ども園間の差異の課題の整理を行う配慮として、長時間保育など保育所・幼稚園の機能についての総合的客観的な視点を持ち、実践の場と共に子どもの育ちを軸とした保育の質に関する丁寧な考察、および検定の妥当性について再考する必要を感じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、第一に、幼保、認定子ども園の保育者の保育観の差異の検証し、保育内容の実態を明らかにし、第二には幼保、認定子ども園における保育実践の差異を実証・分析、第三には、保育カリキュラム・モデルの試案作成と実施を行ない、最終的には、実践研究として保育者に示唆を加え、新たな保育カリキュラム・モデルの構築の有効性についての結果、省察、まとめをしていくことが目的であった。 また、将来的には、それぞれの実践の場が保育の基本を専門的実践的に実証し、柔軟に活用できるような、保育カリキュラム・モデルとなるようにしたいと考えている。 研究が遅れている理由として次の2点がある。①研究データが多いためまとめるための時間が必要で幼保の際について実証まで進んでいない。②実践現場の繁忙とあわせ、保育の現場に理解を得て、研究者が現場に入っての困難さがあった。
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今後の研究の推進方策 |
丁寧な保育内容の実態を明らかにし、幼保、認定子ども園の保育者の保育観の差異の検証。幼保、認定子ども園における保育実践の差異を実証・分析。保育カリキュラム・モデルの試案作成と実施。実践研究として保育者に示唆を加え、新たな保育カリキュラム・モデルの構築の有効性についての結果、省察、まとめの構築を行ない、将来的には、それぞれの実践の場が保育の基本を専門的実践的に実証し、柔軟に活用できるような、保育カリキュラム・モデルとなるようにしたい。 特に、2013年度は、幼稚園、保育所(園)、認定子ども園の保育者に、積極的に働きかけながら研究の意図を理解して戴けるような説明を考慮して研究を進めていきたい。 また、幼稚園、保育所(園)、認定子ども園の保育者の保育観の差異の検証と保育実践の差異を実証・分析を行なっていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度、24年度までに、SPSS、行動コーデイングシステム、ICリコーダー、及びデジカメなど、研究のための観察及び分析に必要な物品は購入ができた。 また、観察後の記録については、カメラのDVDの内容について、補助者を雇い、記述を依頼しワードで基礎資料の作成を託したいと考えている。 平成25年度は、保育のカリキュラムモデルについて、さらに実践的な研究を進め、視野を深めるために、海外出張等を予定している。通訳および原著の翻訳などにも研究費の使用を計画している。
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