養成期あるいは初任期にあたる青年後期は、アイデンティティ形成という発達上の課題に直面する時期でもある。子どもの社会的発達を支え援助していくこれからの保育者には、専門的知識・技能の修得のみならず、保育者自身の自我の成長発達を志向した養成とその後の支援が不可欠と言える。これにより実践の質保証が叶うと考える。そこで本研究では次の3点を主な目的とした。(1)養成期から初任期、中堅期に至る縦断的調査により保育者固有のアイデンティティ形成とその再統合のプロセスを明らかにする。(2)アイデンティティ形成と領域「人間関係」に係る効力感など他の要因との関連を明らかにする。(3)保育者のアイデンティティ形成と再統合を志向した支援モデルを提案する。 本研究は、2002年から実施された保育者志望学生に対する大規模な調査データを有効活用し、長期縦断的な研究を推進するものである。本研究の目的に即して最終年度にあたる本年度は、(1)保育者志望学生のアイデンティティ形成等に関する継続的調査を完了した。収集済みのデータ入力と結合作業を進めた。(2)中堅保育者におけるアイデンティティと保育職への意識の相違などを、テキストマイニングソフトを用いた分析などから明らかにし報告した。(3)研究レビュや総括を目的として国内外の文献を公的機関等において収集した。これらと並行して、国内の研究者から指導助言を受けることができた。研究成果の一部は、関連学会誌等へ投稿を進めている。さらに、これまでの研究成果をまとめ、研究成果報告書を作成した。
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