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2012 年度 実施状況報告書

乳幼児(3歳未満児)に対する臨床美術を導入した造形表現カリキュラムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23531098
研究機関聖和学園短期大学

研究代表者

保坂 遊  聖和学園短期大学, その他部局等, 准教授 (90423996)

研究分担者 青木 一則  東北福祉大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10382665)
キーワード保育内容 / 造形表現 / 臨床美術 / 3歳未満児
研究概要

①前年度に宮城県内の公立・私立保育所へのアンケート調査を実施した結果の分析を行い、保育現場における3歳未満児への保育の実態と課題を抽出した。宮城県内公立私立認可保育所278ヶ所へ現任保育士1347名へのアンケート調査をもとに、造形活動の実態について分析した。日常の保育活動で取り組んでいる造形表現活動の実際や、留意点、課題等を抽出し、保育現場における保育内容の重要性や保育者に求められる資質についての課題を得ることが出来た。
②これらを基に、臨床美術アプローチを取り入れたカリキュラム開発を行い、宮城県仙台市内の私立保育園2箇所において、0~2歳児へ対して開発した造形表現活動を実践し、その有効性について検証した。乳幼児に対しては、特に感覚を多用した造形アプローチにより、発達・成長を促すカリキュラムが効果的である仮説が立てられる。そのような目的に様々な造形技法、教材を用いた臨床美術アプローチを導入した新たなカリキュラムを開発し、平成24年10月より平成25年2月にかけて、仙台市内の社会福祉法人が運営する保育所2カ所に研究協力をいただき、0歳児、1歳児、2歳児の各クラスにおいて合計18回の活動を行った。実践は、現場保育士との協働により行われ、カリキュラムの効果と意義について、観察記録やビデオ記録により評価し、また保育士自身の気づきと理解の変容についても分析した。
平成24年度においては、様々な教材や技法を検討するためのカリキュラム開発費用、そして、保育園で実践するためのカリキュラム実践画材教材費が必要経費として支出された。また、専門者の分析依頼を頂くための経費を執行した。さらには、研究成果を各関連学会等で発表するための旅費を執行した。また、実践研究において、多数の実践例動画を分析するための処理を行うデスクトップパソコンの購入、データ保存のためのハードディスクの購入費用を補正した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災がもたらした被害により、研究開始時期が遅れるに至った。しかし、幸いなことに仙台市内の研究協力園では、後期9月以降からの研究協力を得られ、当初の予定通りの、観察実践研究を実施することができた。しかし、宮城県内全保育所へのアンケート調査については、復興による保育所運営が正常化し始めた、年明け平成24年2月の実施となった。このため、年度内にアンケート調査を行う事ができたが、その結果の解析は、平成24年度に持越しとなり、本年度の課題となった。解析は、その後順調に処理され、おおむね計画通りに結果をまとめることができた。以上のような想定外の事態が研究に影響を及ぼしたが、最小限度の修正のとどまり、本年度は計画当初の課題を達成することができ、次年度のまとめに向かって進展している。

今後の研究の推進方策

①カリキュラムの妥当性の検討:平成24年度に実施されたアンケート分析や実践研究結果よりまとめられた現場保育士の造形活動への課題と実践カリキュラムの効果と意義についての理解について、乳幼児の観察記録とともに評価する。
②カリキュラムの構築:カリキュラム実践の検証を基に、3歳未満児に対する有効的な造形表現プログラムの構築と感性開発としての造形活動アプローチの提案を行う。
③保育者養成カリキュラムとしての保育表現技術演習のモデルの提案:保育所保育指針の改訂に伴い、平成23年度より保育士養成カリキュラムも改訂された。保育現場の現状に則して求められる高い専門性を持つ保育士の養成がその目的にある。美術、造形表現系の科目にあたっては、保育表現技術と科目名が変更となり、より保育実践力を重視するよう指摘されている。さらに今後は、幼児教育との一体化へ向け、幼稚園教諭と保育士の資格統合が検討されているが、保育に関わる保育者にとって、乳幼児に対する保育活動の援助技術が一層求められるであろう。今後の保育の質の向上を目指すとき、良き保育者の育成は必須の課題となる。本研究の最終的な目的は、保育者養成におけるカリキュラムとして、造形表現技術の効果的な教授内容の確立にある。3カ年の3歳未満児に対する造形表現アプローチ構築の研究の成果を、保育表現技術演習のカリキュラムモデルとして提案する。

次年度の研究費の使用計画

設備備品費・消耗品費:文献参考資料、図版、脳科学関係書籍など、本研究に関連する最新の資料や書籍を購入し、様々な視点から造形教育や保育の動向を把握し、まとめるために必要である。
カリキュラム開発費:カリキュラム開発にあたっては、乳幼児でも安心して使用できる安全性の高い画材などを使用して、保育内容の計画を考える。また、多用な教材の研究に際し、画用紙類、粘土、工作等に必要な材料の購入が必要である。
報告書作成製本費:平成25年度には、研究の報告書をまとめ、冊子とし、新たなカリキュラムモデルを提案する。
旅費:研究にあたり、保育現場等や臨床美術実践現場への調査を実施、カリキュラム開発のための糧とする。また、研究成果を学会等へ発表し、情報の交換を行うため、研究代表者と研究分担者のための旅費が必要となる。
謝金等:本研究では、カリキュラム開発にあたる調査により、専門家の知識の提供を得ることが必要である。また、アンケート調査のデータ整理等のための研究補助の人件費を申請する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 保育現場における造形表現活動の現状と課題―宮城県現任保育士アンケート調査より―2013

    • 著者名/発表者名
      保坂遊、青木一則、上村裕樹
    • 学会等名
      日本保育学会第66回大会
    • 発表場所
      中村学園大学
    • 年月日
      20130511-20130512
  • [学会発表] 保育現場における造形表現活動の課題-宮城県現任保育士アンケート調査より-2012

    • 著者名/発表者名
      保坂遊、青木一則、上村裕樹
    • 学会等名
      臨床美術学会第4回大会
    • 発表場所
      当間高原ベルナティオ
    • 年月日
      20120907-20120908

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公開日: 2014-07-24  

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