平成25年度では、1年目(H23年度)の現任保育士アンケート調査、2年目(H24年度)の臨床美術プログラムの保育実践研究より得られた知見から、保育造形表現活動として臨床美術をより効果的に導入するための検討と、保育士養成カリキュラムの一教授法として臨床美術をどのように活用すべきか提案した。 ①カリキュラムの妥当性の検討:現場保育士との協働により行った臨床美術実践に対して、保育士の記録と感想、事後のディスカッションより得られた意見からカリキュラムの妥当性と課題について分析した。研究結果については日本保育学会第67回大会(2014年5月)に報告予定である。 ②カリキュラムの構築:カリキュラム実践の検証を基に、3歳未満児に対する有効的な造形表現プログラムの要素を抽出し、臨床美術を応用した造形活動プログラムを作成した。具体的には「色彩遊び」、「立体造形遊び」、「ものとの関わり」の3要素を主として感性、想像力、観察力、創造性の芽生えを育むための反復経験が以後の発達過程に重要であるとし、臨床美術のエッセンスを各発達段階に即した形で取り入れたカリキュラムを提案した。 ③保育者養成カリキュラムとしての保育表現技術演習のモデルの提案:保育士養成カリキュラムの改訂に伴って、造形表現系の基礎技能科目は、[保育表現技術]と科目名変更となり、より保育実践力を重視するよう指摘された。本研究では、臨床美術実践から得られた保育者として必要とされる課題と、臨床美術士養成講座を照らし合わせ、造形活動の本質的理解と感性に根ざした造形活動の援助技術習得のための具体的教授モデルを提案した。 以上の内容について、日本保育学会、臨床美術学会、全国保育士養成協議会研究大会等で発表し、3カ年の研究をまとめた報告書を作成し、今後の保育現場での3歳未満児に対する造形表現活動の向上と、保育者養成の質の向上の一助となる成果を得る事ができた。
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