本研究では、多様な困難を持つ生徒への高校での支援策を検討するため、低学力で文化的資本不足にある生徒の多い学校を中心に調査を行った。その結果、学校は文化的資本の支援を意識する現状にはなく、生徒の基礎学力の定着による成功体験の蓄積と体験的キャリア教育によって自己否定感や諦め意識の改善を目指していることがわかった。しかし、一部では外部組織と連携し、生徒が希望を持ち社会的自立を目指す取組や結果的に文化的資本の補完につながったとされる取組等、今後に期待できる事例も見られた。米国では、生活環境や文化的背景に生徒自身が誇りを持ち、成育過程で不足する文化的資本を補完する役割を果たす教育支援が明らかとなった。
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