研究課題/領域番号 |
23531103
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
大川 一毅 岩手大学, 評価室, 准教授 (20267446)
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研究分担者 |
西出 順郎 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (20433112)
山下 泰弘 山形大学, 企画部, 准教授 (40313431)
嶌田 敏行 茨城大学, 評価室, 助教 (00400599)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育社会学 / 高等教育 / 地方大学 / 卒業生サービス / 大学マネジメント / 国立大学 / 中期目標中期計画 / 同窓会 |
研究概要 |
本研究は、大学における「卒業生サービス」を、大学と卒業者との持続可能な相互関係構築及び相互支援に資する新たなミッションとして位置づけ、これを地方国立大学で展開することの意義と可能性について実証的に考察することを目的とする。 国立大学で実施する卒業生事業について、これまでその全容は明らかになっていなかった。そこで平成23年度の本研究は、国立大学の中期目標・中期計画に記載された卒業生事業の全てを定量的に検証した。その結果、国立大学は自らの資源や置かれた状況を踏まえながら、それぞれに何らかの卒業生事業を計画・実施していることが明らかとなった。たとえば大都市の大規模国立大学は社会の基幹を担う豊富な卒業生を活用した基金事業に力を入れていた。地方国立総合大学では、地域とのつながりを反映した卒業生事業を幅広く展開していた。地方小規模国立大学は、教育成果の意見聴取や卒業生への就職・キャリア支援等を計画していることが多かった。 中期目標中期計画から判断する限り、国立大学の卒業生事業は卒業生や同窓会からの利益導入を重視している。しかし第一期中期目標期間と比べるならば、第二期では卒業生への「サービス提供」を目的とする事業計画も増えている。第二期中期目標期間の国立大学は、卒業生や同窓会と相互に支援し合う関係を模索している段階にあると考えられる。 平成23年度の研究では、神戸大学、和歌山大学、岡山大学、香川大学への訪問調査も行った。この調査から卒業生事業の実施は、大学と卒業生との関係維持を重視していること、法人化が契機となったこと、全学同窓会やホームカミングデーを中核事業としていること、大規模伝統大学と地方大学では卒業生の意識やニーズが異なること、同じ大学でも規模や歴史の異なる学部では事業意欲に温度差があること、大学への寄付金導入に直接成果をもたらすものではないこと、等の知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三箇年の本研究期間は、大きく以下3ステップの取り組みを展開する。すなわち、(1)国立大学における卒業生サービス事業の実施状況調査、及び先導的大学の取り組みに関する情報収集と分析、(2)地方国立大学に焦点をあてた卒業生サービス事業の実施環境分析とその実証調査、(3)卒業生サービス・マネジメントの基本的枠組みの提示、である。 平成23年度は上記(1)ステップの研究の遂行期間である。これにあたり、まずは国立大学における卒業生事業の全容把握にむけ、国立大学中期目標・中期計画及び年度計画の記載を定量的に分析した。あわせて卒業生事業の先導的大学を訪問し、ヒアリングを行った。訪問調査では、各大学の同窓会担当理事や卒業生事業担当部署の部・課長及び主任職にある各位にインタビューを行い、卒業生事業実施の考え方、実施の背景、卒業生からのニーズと満足度、実施体制、同窓会組織との関係、事業の成果と課題など、紙面調査では把握できない具体的状況についての情報を収集した。これら本年度研究による分析と調査により、国立大学における卒業生サービス事業の総体的把握という年度目標を達成することができた。また、大学類型別にみた卒業生サービス事業の特性も明らかになりつつある。このことは、平成24年度研究において計画する地方国立大学に適用可能な要素(シーズ)と、改善・開拓が求められる要素(ニーズ)の抽出という課題を進める上での礎石となる。 平成23年度における研究成果の公表は、論文での報告1件(広島大学高等教育研究開発センター「大学論集」第43集)、学会・研究会での口頭報告2件(日本高等教育学会第14回大会、第61回東北・北海道地区 大学等高等・共通教育研究会)である。なお、平成24年5月開催の日本高等教育学会第15回大会にも研究報告を申請している(「発表要旨」提出)。 以上のことから本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、これまでの分析・調査から得た知見をふまえ、地方国立大学に焦点をあてた卒業生(サービス)事業の実施環境分析とその実証調査を推進する。これにあたっては、卒業生(サービス)事業をめぐる大規模都市型国立大学と地方総合国立大学の定量的及び定性的な比較検証が必要になる。この作業では、個々の大学の独自性を表すデータ、卒業者規模、就業先、等の諸要素を収集しながら分析を行うことになる。また、特色ある卒業生(サービス)事業を展開する国立大学への訪問インタビュー調査も継続実施する。さらに、これまでの調査において国立大学が卒業生事業として重視している全学同窓会についても、卒業生サービスの視点から、その組織や機能を検証するための作業に取りかかる。 平成24年度は新規研究分担者の参画を得て、地方国立大学を主対象とした卒業生事業に関するアンケート調査を立案する。ここでは「卒業生サービス」の実施状況、実施目的、実施組織、内容、卒業生からのニーズとその対応、実施上の課題、同窓会との関係、教育プログラムの展開等を設問項目とし、平成22年度先行調査との経年変化の把握や「卒業生サービス」の促進要因と阻害要因の抽出に配慮する。 これらの取り組みによって得た知見と情報をもとに、地方大学に適用可能な要素(シーズ)と、改善・開拓が求められる要素(ニーズ)を抽出していくことになる。 平成24年度までの研究成果は、日本高等教育学会第15回大会で報告するとともに、その内容も含めた論文(もしくは研究ノート)の学術誌投稿を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年3月に新規研究分担者が加入した。これにあたり、平成24年度における新規分担者の研究経費は、研究代表者、及び当初からの研究分担者への交付予定経費を割譲配分する。新規分担者の参画は平成23年12月に方針決定していた。これをふまえ、平成23年度に研究経費を交付されていた研究参加者は、配分金を計画的に繰り越し、次年度経費の減額分に充当することとした。 なお、平成24年度の研究費内訳は、訪問ヒアリング調査に要する経費(旅費)、学会参加・報告経費、webアンケート構築経費、データ入力経費等である。
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