高等教育の人材養成機能における地域性の展開を、新しい教育課程の設置過程に着目して検討した。事例とした複数の大学で確認できた共通の傾向は、教育課程設置のための経費として外部資金を活用し、それ故にその資金の性格が教育課程を方向付けるという点である。また教育課程が地域性の高い内容であるほど関連した労働市場の規模が小さい場合が多く、地域的性格を後退させる要因となっていた。 これらは教育を通じた地域との連携・貢献における難しさのひとつといえるが、国外ではそうした機能を大学の外部に設置する取り組みも進んでいる。柔軟な教育プログラムを併用することでより地域性を高めた人材養成が可能になる可能性が指摘できる。
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