研究課題/領域番号 |
23531106
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
稲永 由紀 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 講師 (80315027)
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キーワード | 高等教育 / 地域配置 / 地域人材養成 / 大学立地政策 / 大学 / 短期大学 / 専門学校 |
研究概要 |
本研究は、大学立地政策の終焉と「地域主権」への政治的流れの中で、再び高等教育機関の地域配置と学生の地域移動実態に焦点を当て、主として、①マクロ統計を用いた潜在的移動可能性分析(1990年代以降)、②キャリア横断型データ(卒業生調査)を用いた地域移動実態分析、③特定地域を単位とした総合的な地域配置・地域移動分析を通じて、人材養成機能面からみた大学立地政策終焉後の高等教育機関の地域的役割について解明することを目的としている。 そのうち今年度は、まず昨年度に引き続いて、②キャリア横断型データである卒業生調査データ(CHEERS、REFLEX、CC)を用いた地域移動実態分析による、学校種・専門領域別の地域人材養成・輩出機能について、分析を実施した。使用データは、吉本圭一九州大学教授らを中心とした研究グループにて全国規模(大卒調査はEU 諸国との比較調査)で実施した、卒後3 年目および卒後8~10 年目の大卒調査(1998 年:CHEERS-A、CHEERS-B 調査)、卒後5 年目の大卒調査(2006 年:REFLEX 調査)、卒後1、3、7 年目の短大卒調査(2004 年:CC-A 調査)、および卒後2、4、8 年目の短大卒調査(2005 年:CC-B 調査)である。これらは、高等教育から職業への移行に関するデータとして、CC-A調査を除く4 調査で進学前、在学中、就職直後、調査時点での居住地データを含んでいる。更にCC-B 調査には市町村単位で居住地データがあり、都道府県単位で詳細が把握できにくい短期大学卒業者の地域移動を捉えることが可能である。次に、今年度後半からは③特定地域(福岡県を中心とした北部九州地域)を単位とした人材養成機能の地域性に関する総合的分析(関係者ヒアリングを含む)に着手した。これは平成25年度前半にかけて実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、過去の調査(卒業生調査)の再分析の継続、および、特定地域を対象とした総合的な分析に着手した。前年度、在学時調査データのデータクリーニングなどに予想以上に時間を要し、その分、当初初年度に予定していた既存マクロ統計を利用した潜在的移動可能性分析に使用するデータ整備に遅れがでているが、その代わり、特定地域を対象とした総合的分析には予定通り着手できているので、総じて概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次年度は、 ・③特定地域を単位とした総合的な地域配置・地域移動分析について、引き続き、関係者と密な連携を重ねながらとりまとめる ・これと同時に、当初予定より遅れている①マクロ統計を用いた潜在的移動可能性分析を急ぐ。 ・更に、研究の一部については、学会大会等で成果発表を計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、必要文献・資料に関わる費用、および通信、複写等の費用に加え、以下の用途での研究費使用を計画している。 ・①マクロ統計を用いた潜在的移動可能性分析に必要なデータ整備に関する、地域移動関連電子データの購入費用、データ複写の費用、データ入力のための謝金 ・③特定地域を単位とした総合的な地域配置・地域移動分析において、関係する専門研究者および現地調査に関わる旅費・謝金、およびデータ整理の謝金 ・成果発表のための旅費 なお、②③を先に実施したことから、①の大部分については今年度未使用分として次年度に繰越すこととなった。したがって、①については今年度未使用分から、③および成果発表については次年度請求分から、それぞれ支出を計画している。
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