本研究は、大学立地政策の終焉と「地域主権」への政治的流れの中で、再び高等教育機関の地域配置と、学生の地域移動実態に焦点を当て、主として(1)マクロ統計を用いた潜在的移動可能性分析(1990年代以降)、(2)キャリア横断型データである卒業生調査(CHEERS、REFLEX、CC)を用いた地域移動実態分析、(3)特定地域を単位とした総合的な地域配置・地域移動分析を通じて、人材養成機能面から見た大学立地政策終焉後の高等教育機関の地域的役割について解明することを目的としている。 最終年度である今年度は、前年度までの研究成果((1)(2)(3))のとりまとめに務めた。特にキャリア横断型データ分析を用いた学校種・専門領域別の地域人材養成・輩出機能については、一部(CC:短大データ)が市町村単位で詳細を把握できるデータであり、都道府県単位では確認することができない、都道府県よりも少し小さい経済圏(例えば朝日新聞社の民力でいう「エリア」)間での地域移動を確認することができた。これにCCデータ対象地域の関係機関ヒアリング等での知見を用いて、総合的な分析をおこなった。 ただし、今年度は研究代表者育児休業取得のため、学会等での成果発表エントリー時期との関係から成果発表自体を今年度内(研究機関内)に完了させることは断念せざるを得なかった。また、復職後の時間的制約から、マクロ統計を用いた潜在的移動可能性分析については可能な範囲での分析にとどめざるを得ず、出張を伴う追加の訪問調査等の予定も断念せざるを得なかった。特に研究成果の公表については、来年度以降であっても機会を伺って、完了させたいと考えている。
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