研究課題/領域番号 |
23531107
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
前田 早苗 千葉大学, 普遍教育センター, 教授 (40360739)
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研究分担者 |
早田 幸政 大阪大学, 大学教育実践センター, 教授 (30360738)
工藤 潤 (財)大学基準協会(大学評価・研究部), 大学評価・研究部, 大学評価・研究部長 (70360740)
堀井 祐介 金沢大学, 金沢大学大学教育開発・支援センター, 教授 (30304041)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教養教育 / 学士課程 / カリキュラムポリシー / 学位 / 質保証 / 認証評価 / アクレディテーション |
研究概要 |
本研究の目的である、大学が、教養教育を学士課程教育にどのように位置づけ、専門教育との関わりで再定義しようとしているのか、それとの関係で、教養教育の質保証はどのような視点を持って行われようとしているのかを明らかにするために、今年度は、(1)国内の大学における教養教育のあり方についての調査準備、(2)国内の機関別認証評価機関の調査、(3)アメリカの大学における教養教育の実態調査の3つの項目について実施した。 (1)では、本研究の責任者及び分担者の所属する大学の教養教育の実態について確認することにより、来年度に向けて調査項目の検討を行い、来年度の調査の準備を整えた。この調査の意義は、主な調査対象である人文、社会、自然にわたり学部を設置している大規模総合大学において、「学士課程教育」すなわち専門教育と教養教育という区分にこだわらない、一貫性・体系性を持った教育課程の実現は、どのように実現されようとしているのか、そこにはどのような可能性と課題があるのかを明らかにすることにある。 (2)では、国内のすべての機関別認証評価機関に対し、評価基準および機関別評価における教養教育の位置づけ、教養教育の評価体制、教養教育の評価の特徴と課題などの聞き取り調査を行った。評価機関にとっての教養教育の評価の課題を整理することで、大学における教養教育の位置づけの問題を浮き彫りにすることに意義がある。 (3)では、カリフォルニア州の4つの大学と同州を管轄するアクレディテーション協会の調査を行った。アメリカの大学の教養教育の実践例をできるだけ多く収集し、これを分析して紹介することは、アメリカ型の学士課程教育をひとつのモデルとする日本の大学にとって意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 国内の大学調査については、来年度の質問紙調査と大学への訪問調査のための項目作りがほぼできた。次年度の以降の見通しが立てられたことで順調に調査を進行できるものと考えている。 (2) 国内の機関別認証評価機関の調査は、予定通り今年度に訪問調査を終了したので、その調査の成果の分析が次年度以降の主な研究内容となる。各評価機関の評価結果分析にも着手しており、認証評価における教養教育の評価のあり方についての調査分析も滞りなく進行している。 (3) アメリカの大学およびアクレディテーション協会の訪問調査も当初から今年度と来年度に実施することとしており、予定通り今年度の調査を終えている。 本研究は、日本の大学および機関別認証評価機関の調査と、学習成果の測定を重視するアメリカの大学の教養教育の実態調査とを比較することで、日本の学士課程教育、とりわけ教養教育の質保証の今後を考える上での基礎的な知見の獲得および資料の提供に資することを目的としており、以上の研究の進行状況から、すべて順調に推移しているると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の柱である(1)国内の大学における教養教育のあり方についての調査、(2)国内の機関別認証評価機関の調査、(3)アメリカの大学における教養教育の実態調査のうち、(1)については、調査項目の検討を重視し、大学への訪問調査を翌年度に開始することとしたため、「次年度使用額」が発生した。この訪問調査も含め、来年度以降、国内の大規模総合大学を中心に質問紙調査(学位授与方針、教育課程編成・実施方針の策定状況、同方針における教養教育の位置づけ、教養教育独自の方針の有無、教養教育実施組織のあり方など)を行う。その回答を踏まえて、6~8大学の訪問調査を実施する。調査の結果から、教養教育の位置づけ(教養教育の目的、専門教育との関係など)、教養教育の運営組織のあり方(専任教員を置く組織か否か、カリキュラム権・人事権の有無など)、教養教育の質保証、そしてこれらの相互関連等について分析する。 (2)については、訪問調査の成果分析とともに、各認証評価機関の評価結果において教養教育がどのような観点から評価されているのかについての分析を行うなど、文献調査を実施する。さらに認証評価における評価の観点(例えば、教養教育の目的の明示、学習成果を中心とした内部質保証システムの構築など)と(1)で得られた調査結果とを比較分析を行う。 (3)については、東海岸に位置する大学への訪問調査を行う。今年度得られた成果をもとに、調査項目を見直し、アメリカの大学の教養教育の実践を、大学の特色、教養教育の運営体制、質保証のあり方等から分類整理する。今年度調査を実施した大学に対してもメール等で追加調査を行い、資料の充実を図る。 最後に、日米の大学の比較分析を行い、教養教育に関する特徴的な実践や共通課題などを整理し、日本の大学にとって課題となっている教養教育の再定義に資する成果にまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、国内の3~4大学への調査にかかる旅費(のべ4名、10万円)、外国調査としてアメリカの大学(4大学程度)及びアクレディテーション協会にかかる旅費として(2名×30万円)、通訳料10万円、テープ起こし代8万円を予定している。
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