研究課題/領域番号 |
23531110
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
岡田 昭人 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60313277)
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研究分担者 |
堀口 佐知子 東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (30514541)
POOLE Gregory 同志社大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60307147)
井本 由紀 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (90581835)
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キーワード | 国際情報交換 欧米豪 / 教育社会学 / 日本研究 / 知の社会学 / 地域研究 / 高等教育機関のグローバル化 / 教育プログラム |
研究概要 |
本研究の目的は、「日本」に関する人文学的・社会学的知識がいかに構築され、再編成されているのか、主に海外機関を対象にその循環経路を辿ることにある。具体的には1日本研究動向についての質的・量的調査2海外に向けて成果を発信する日本研究者のキャリア構築過程に関するインタビュー調査3Japanese Studiesプログラムのありかたに関する質的調査を柱としている。 2年目である平成24年度は、前年度主に行った上記1の量的調査をさらに進め、日本研究・教育高等機関データベースを完成させるとともに、日本研究動向の地域的・歴史的文脈を網羅的に捉え、教育研究の重要拠点を見出すことができた。また上記2の日本研究者のキャリア構築過程について、日本人で海外大学院で教育を受けた日本研究者を中心にインタビュー調査を実施し、主に研究者としてのアイデンティティについて考察した。3の教育プログラムについては、下記ワークショップ中情報収集を行った。 5月30日、8月28日、12月28日にメンバー全体での打ち合わせを行い、4月22日にAJJ(Anhropology of Japan in Japan)学会にて成果を報告、3月14~15日に英国オックスフォード大学ニッサン研究所にて中間報告会を兼ねた日本研究ワークショップを実施した。ワークショップでは、本科研の成果報告を行うとともに、欧米豪州から日本の日本研究者が集まり、北米の日本研究動向調査を長年担われてきたPatricia Steinhoff教授や、豪州の日本研究を長年担われてきた杉本良男教授を中心に日本研究の動向を議論、日本研究の社会学的知への貢献や地域研究のありかたについて船曳建夫東京大学名誉教授、イスラエルのEyal Ben-Ari先生を中心に議論し、前ヨーロッパ日本語教師会会長穴井すず子氏を中心に日本語教育と日本研究の関連などについて議論を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間にわたる本研究の目的は①日本研究動向の質的・量的調査②日本研究者のキャリア構築過程に関するインタビュー調査③代表的な海外日本研究機関や、グローバル化を進めつつある日本国内の高等教育機関におけるJapanese Studiesプログラムのありかたに関する質的調査を柱とし、「日本」についての知のフローを捉えることにある。 2年目である平成24年度は前年度から①の量的調査とデータベースを継続した。日本研究・教育高等機関データベースと主要雑誌における日本研究論文データベース構築を完了する予定であったが、機関データベースは完成したものの人員不足等により論文データベースに着手できなかった。人員を既に確保しているため次年度夏までにに完了させる予定である。②について、日本人で海外研究機関で教育を受けた研究者を中心にインタビューを実施した。次年度にはさらに多くの研究者のキャリア構築過程について調査を行う予定である。③については、研究メンバーの個人的事情等により、実施予定であった北米・豪州における実地調査を実施できなかったが、下記中間報告会兼ワークショップにて効率良く情報収集を行った。北米実地調査は次年度に行う予定である。 また、当初の予定通り、研究会を3~4カ月に1度開催し、4月には学会発表、3月には中間報告会兼ワークショップを行った。中間報告会では、当科研メンバーだけでなく、欧米豪州を代表する日本研究者と日本の代表的社会科学者から、日本を含めた各地の若手研究者まで、また人類学、社会学、政治学、経済学、文学、日本語教育などあらゆる分野の方達の参加があり、活発に日本研究のあり方について議論を進め、本科研のテーマである、国内外の研究者の対話を促進することができた。中間報告会での成果をさらに発展させ、次年度は日本国内で最終報告会を実施し、報告書もしくは論文集の形で成果をまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本プロジェクト最終年度である次年度(平成25年度)は、平成24年度からの研究調査を継続するとともに、研究会/打合せ(数か月に一度程度実施予定)及び最終報告会(12月に東京外国語大学にて開催予定)、学会(9月京都にて開催の英国日本研究学会日本支部大会など)を通じて随時研究成果の発信を進め、ワーキングペーパーなどの形で最終報告をまとめる予定である。 まずは、日本研究動向量的調査を進め、夏までに、主要社会科学、日本研究雑誌(1980年代以降)の著者・分野・キーワード等のデータベース構築を完了させる予定である。既に作業にあたる人員は確保しており、5月から7月にかけて集中的に作業を進めることになっている。また、海外で活躍する・海外に向けて成果を発信する日本研究者のキャリア構築過程に関するインタビュー調査を、平成24年度に主に行った日本人研究者からさらに範囲を広げて行う予定にしている。また、平成24年度に実施することができなかった北米における実地調査を、平成24年度夏~秋に米国(エール大学、ハーバード大学などを予定)で行う予定である。豪州調査については、調査予定者の事情により、実地調査に代わり、豪州で長らく日本研究にあたってきた研究者への聴き取り、およびインターネットを利用した調査に形を変更して行う予定である。さらに、平成25年度からJapanese studiesプログラムを立ち上げる国内の大学(千葉大学、北海道大学など)があることから、こうした日本国内における教育プログラムの立ち上げに注目し、国内調査に当初より重点を置き調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、英国における中間報告会実施などにかかわる旅費や、英国における情報・資料収集に研究費の多くを割いたが、実施予定であった北米実地調査を延期したため、一部研究費(17万円程度)を次年度に繰り越すこととなった。 平成25年度は、上記の研究計画に沿い、主にデータベース構築作業及び最終報告会の実施(本プロジェクト研究協力者で、オックスフォード大学教授で研究協力者の苅谷剛彦氏ほかのシンポジストを海外ベースの研究者を含めて招聘予定・国内遠方からの参加者も予定)・一部研究メンバー(関西在住など)の東京における研究会参加旅費、最終報告書準備のための資料収集・日本研究関連の国際学会におけるフィールド調査及び研究成果発表のための参加費・旅費、国内大学におけるJapanese studiesプログラム立ち上げに関する調査(計1,120,000円)北米実地調査(旅費250,000円)のため、合計1,370,000円(平成24年度からの繰越分を含む)の研究費を使用する予定である。
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