研究課題/領域番号 |
23531112
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
新谷 康浩 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (10345465)
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研究分担者 |
眞鍋 倫子 中央大学, 文学部, 教授 (00345323)
居郷 至伸 横浜国立大学, 学内共同利用施設等, 講師 (70586396)
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キーワード | 教育社会学 / キャリア教育 / 非就労 / 職業地位達成 / 逸脱 / 標準的モデル |
研究概要 |
本研究は職業地位達成の研究に逸脱研究の視点を組み込むことによって、キャリア教育が「就労/非就労」「正社員/非正社員」の境界線とその序列構造をどのように扱っているのかについて担当者へのインタビューやキャリアテキストの分析を通して検討してきた。 キャリアテキストの分析からは、キャリア教育が正社員を標準とする「標準的モデル」に依拠していることが示された。キャリア教育は独自に冷却装置として機能しているのではなく、大学教育の中に組み込まれていた。そのため各大学に見合ったキャリアに学生を水路づけようとしていた。インタビュー調査からは、全ての大学のキャリア教育が「標準的モデル」を志向しているわけではなく、「標準的モデル」を当然視せざるを得ない人文系と、「標準的モデル」を当然視しない芸術系では、それぞれのタイプの大学が想定している職業的地位達成の序列への価値づけが異なっていることが示唆された。 また本研究では、大学生へのアンケート調査の分析から、「就労/非就労」「正社員/非正社員」を分ける基準として、「地位」と「行為」という2つの軸があることを明らかにした。理念としてのキャリア教育は「行為」の面で働きかけるものであるが、実際のキャリア教育は「正社員」という「地位」を想定している。また、実際に行われているキャリア教育自体が大学の種別化と対応した内容を扱っていることも示唆された。上位大学でエンプロイヤビリティを高めることで強い個人と自己責任を求めていたのに対して、下位大学ではグループ活動など学生の孤立化を防ぐ活動が行われていた。 逸脱論を組み込んだ職業地位達成の観点からキャリア教育を捉えた場合、大学の位置づけによって逸脱とされる地位・行為も異なる。キャリア教育を普遍的なものとして捉えることの限界も明らかになった。以上、3年間の研究の成果を最終報告書(全177頁、資料含む)にまとめた。
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