研究課題/領域番号 |
23531115
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
阿曽沼 明裕 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80261759)
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キーワード | 研究大学 / アメリカ / 大学院 / 組織 / 運営 |
研究概要 |
平成25年度は、以前に行ったアメリカの研究大学に対する訪問調査で得られたデータの再分析を行った。とくに大学院教育にかかわる全学的な管理組織について、その管轄する範囲を検討し、また個別スクールについては大学院教育がどのように組織化され、どのように運営されているのかを検討した。その結果、全学的な大学院管理組織の管轄範囲については、一般に研究学位プログラムを中心に専門職学位プログラムの一部を管理しているが、研究学位と専門職学位の区別の曖昧さから、かなりのバリエーションがあることが分かった。また、スクールレベルにおいては、大学院教育はプログラムとして組織化されるが、プログラムには大学院教育の特性が反映され、統合型プログラムと分化型プログラムの大きく2つのプログラムがあり、中心的なプログラムがそのどちらかであることがスクールの組織構成(デパートメントの有無など)に影響し、そうしたプログラム構造とスクールの組織構成が大学院プログラムの運営を規定していることが分かった。さらにスクール内部で多様な大学院教育を運営するためにマトリクスが生じていること、そのマトリクスにも大きな多様性があることが明らかになった。また、大学院にかかわる組織の形成に関する歴史的な検討も行い、デパートメントの形成、上級デパートメントによるPh.D.プログラムの開始、デパートメントからグラジュエト・スクールへの発展プロセスを検討した。以上の分析結果を著書の一部に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、大学院の先進国であり、研究学位から専門職学位まで大学院教育の多様化が進んでいると考えられる米国の大学院教育の組織的基盤を明らかにし、それによって、将来の日本の大学院の組織や運営の改革への基礎的な知見を得ることであるが、それに対して、現在までのところ、米国の大学院の組織や運営の多様なパターンの整理はかなり進んだが、まだ不十分なところが多く、訪問調査も遅れている。さらに、日本との比較をしながら、日本の大学院の組織や運営における構造的な問題を明らかにするところまでは至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、第一に、アメリカの大学院について、遅れている訪問調査を実施し、データの数を増やすことで、前年度までに行った機関レベルの大学院組織・運営に関する研究を踏まえて、部局であるスクール・カレッジの内部組織の分析と、スクールが運営する大学院プログラムのレベルまで踏み込んで、調査と分析を行う。第二に、日本の大学院の組織や運営についての資料やデータを収集し、日米の大学院の組織的基盤に関する比較研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していたアメリカの大学への訪問調査を、本務多忙のため実施できなかったことによる。 平成26年度は、研究の最終年度であり、大学院の組織的基盤について、日米の比較を行う段階であるが、前年度までに予定していたが実施できなかったアメリカの大学への訪問調査を行うための海外旅費、継続して行っている日米の大学の大学院にかかわる資料の収集のための費用、日米比較に関する研究発表のための国内費用、を支出予定である。
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