最終年度においては、アメリカの研究大学への訪問調査で、資料とデータを収集するとともに、これまで収集したデータや文献をもとに、大学院の組織や運営に関する分析を進めた。第一に、大学院教育に関わるデパートメント、グラジュエト・スクール、プロフェッショナル・スクール(とくに大学院プログラム)の歴史的な形成と展開についてまとめた。第二に、大学院の全学的な管理組織であるグラジュエト・スクールその他の組織に関して整理を行い、大学院教育の全学的な管理のパターンを整理し、大きく3つのパターン(アンブレラGS型、文理大学院型、個別スクール型)があることを明らかにした。第三に、大学院教育の観点から、アメリカの研究大学を構成する教育研究組織のパターンの整理を行った。第四に、法律、文理学、医学、ビジネス、教育のカレッジやスクール別に、大学院学位プログラムの構造がどのように異なり、どのように運営されているのかを分析した。とくに学位プログラムに分散型のプログラムと統合型のプログラムの違いがあることを明らかにし、それらがデパートメントの有無などの組織構成の違いを踏まえて、どのように運営されているのかを明らかにした。第五に、カレッジやスクールの中で学位プログラムとデパーメントがマトリクスを構成していること、そしてそのマトリクスの形態が法律、文理学、医学、ビジネス、教育のカレッジ・スクールでかなり異なることを示すことで、組織的なマトリクスの多様性を明らかにした。第六に、大学院教育の財政的な基盤も考慮しながら、法律、文理学、医学、ビジネス、教育のカレッジやスクール別に、どのような大学院戦略が採られているのかかを明らかにした。
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