本研究では日・米・仏の大学入試の問題分析とその準備教育の調査を通して、各国の試験ではいかなる能力を測定しているのか、それは社会で求められる能力といかに関連するのかを能力観のモデル化を試みて明らかにした。モデル化では、①知識の性質(「経験的」対「学問的」)と②教育目標(「価値的」対「技術的」)の2つの指標を組み合わせる事により、4タイプの能力観を規定した。アメリカのSATは効果的な推論力を(応用型)、日本のセンター試験は内的共同体を作り上げるための共感力を(共同体型)、フランスのバカロレアは、弁証法を使い新たな前提条件を創り上げる力(政治型)を測っていることが明らかになった。
|