グローバリゼーションの進行する今日、国境を越えた移動や複数の文化接触の経験をもつ子ども達が増えている。そうした子ども達の中には、在住地での学業達成、母語・継承語の習得、肯定的なアイデンティティの獲得という点で、成功者の多いグループ(駐在員家庭、日本人と欧米人との国際結婚家庭)と、困難を抱えがちなグループ(中国帰国者家庭)とがある。 そこで、本研究では、I. 駐在員家庭と日欧国際結婚家庭の教育戦略や背景を明確化し、II. 中国帰国者家庭の教育の現状を把握した上で、III. Iで得た教育戦略を地域の学びの場で中国帰国者家庭に応用する可能性を検討することを目的とした。 最終年度には、駐在員家庭と日欧国際結婚家庭の教育戦略について、分析を深め、精緻化した。具体的には、複数のインターナショナルスクールを訪問し、駐在員家庭や日欧国際結婚家庭の子どもたちの教育環境やスクールでの学習状況、スクールでの教育方針や実践、家庭の期待や連携についてインタビュー、および、観察をした。また、日本人と結婚している外国人女性にインタビューを行い、家庭や学校での教育や子どもたちのようすについてインタビューした。加えて、国際結婚家庭に生まれた人にも、家庭や学校での体験や教育に対しての期待についてインタビューした。 一方、中国にルーツをもつ子どもたちに対する地域での学習支援活動では、子どもや保護者、ボランティアの活動を参与観察した。その結果、近年では、中国帰国者家族に限らず、国際結婚家庭や就職のための来日家族が増えていること、そうした家庭は経済・文化的状況や教育実践・期待が帰国者家族とは異なることがわかってきた。 これらを踏まえ、さまざまなクロスカルチュラルキッズに活用できる教育プログラムとして、国際バカロレアについて検討した。
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