本研究がめざしたのは、複数の文化間を移動する青少年の進路形成上の課題およびそれを克服するための諸条件を解明することであった。日本とブラジルの二つの文化間を生きるブラジル人青少年の進路形成を支える環境に注目した本研究からは、以下の二点があきらかになった。第一に、日本にあるブラジル人学校や通信教育は彼らのトランスナショナルな進路形成を支える重要な役割を果たしていること。第二に、ブラジル人学校は生徒の進路形成のみならず、そこで働く教師のキャリア形成をもささえる場になっていること。これらの知見は、トランスナショナルな世界を生きる当事者の視点に立った移行支援の必要性を示すものである。
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