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2013 年度 実施状況報告書

大学でのグローバル人材育成:国際社会への参加意欲と活動力を高める調査と実践

研究課題

研究課題/領域番号 23531129
研究機関首都大学東京

研究代表者

小柳 志津  首都大学東京, 国際センター, 准教授 (20376990)

研究分担者 西郡 仁朗  首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (20228175)
キーワード異文化間能力 / グローバル人材 / 国際交流活動 / 海外研修 / プログラム開発 / 国際理解教育
研究概要

本研究は「1.大学生の国際社会意識調査」「2.国際社会で必要な能力調査」「3.国際交流プログラム調査」「4.国際活動力強化プログラムの開発と実施」の4つの調査からなるが、H25年度は「2.国際社会で必要な能力調査」で分析した政財界が考えるグローバル人材に必要な能力について、いくつかの国際交流プログラムに参加する学生達を対象に、それら能力がどのように養成されているかを探ることで「3.国際交流プログラム調査」を行った。
その結果、1ヵ月程度の短期海外研修においても、自信の獲得、視野の広がり、主体性・自主性・積極性の強化、柔軟な思考などの人間的成長に関する資質や意識の向上が顕著となることが明らかとなった。また、英語力やコミュニケーション力についても研修前と後で有意な差が見られ、政財界が考えるグローバル人材の素養を育成する上で短期研修が重要な役割を果たせることが実証された。
その一方で、日本人としてのアイデンティティーや文化の違いへの対応については変化が見られず、短期研修での限界も明らかとなった。
「4.国際活動力強化プログラムの開発と実施」については、グローバル・シチズンシップ・プログラム(GCP)が3年目、グローバル・リーダーシップ・プログラム(GLP)が2年目となり、国際活動力を高める目的で行ったプログラム内容が実際にはどのように有効であるかという点が見えてきた。また、これらのプログラムの実施を通して、政財界が提案するグローバル人材に必要とされる能力が適切かどうかの検証も行っている。
加えて今年度は、より発展的なプログラムの開発に向け、海外の大学とのオンライン交流プログラムにも着手し、リトアニアのシャウレイ大学とのテレビ会議システムを使った授業も行った。また、交流先大学を広げるために、EAIE等の国際会議の場でネットワークを広げ、今後より発展したプログラムを開発中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した実施計画に対しては多少の変更があるが、「国際社会で必要な能力調査」については、政財界が考えるグローバル人材に求められる能力についてをまとめるとともに、異文化コミュニケーションや国際教育の分野で研究されている異文化間能力に関して文献調査を行っている。それらに基づき「国際交流プログラム調査」では、実際のプログラムでそれら能力がどのように獲得されるかを明らかにした。
「大学生の国際社会意識調査」については、この数年でグローバル人材が必要とされていることや就職の際にも国際経験や語学力が重要視されていることがマスコミを通して広く伝えられ、JASSOや大学の奨学金制度が知られることとなったため、学生の意識がかなり大きく変化していることが海外留学説明会等からも実感されるため、“若者の海外離れ”や“内向き志向”についての意識調査は社会環境的変化に影響されやすいと判断した。
また、本研究の一番の目的である「大学生の国際社会への参加意欲を高め、異文化への対応力を強化してグローバル人材を育成するプログラムを開発実施する」「国際活動力強化プログラムの開発と実施」については、既にGCPとGLPを立上げ実施内容と効果を検証しながら年々内容を充実させている。これらプログラムに参加した学生達がその後交換留学などのより長期の留学プログラムに参加しており、意識や意欲の向上に非常に有効であることが示されている。
プログラム開発については、現在海外の大学と協同でインターネットを使ったオンライン交流授業とお互いを訪問しての実地交流授業を組み合せた活動プログラムを検討中である。既にいくつかの大学の異文化コミュニケーションや国際交流を担当する教員と構想を練っており、H26年度には試行を実施する予定である。

今後の研究の推進方策

本研究はH23年度からH25年度までの予定で計画していたが、最終目標の「国際活動力強化プログラムの開発と実施」が早まり他の調査と同時に進めることができたため、各調査内容を反映しながらより発展したプログラムを開発することを目的としてH26年度まで延長した。
今後は、現在海外大学と検討を進めているオンライン交流と実施交流を組み合せた活動プログラムの実施に向け、インターネットを使った交流授業の内容や技術的方法を調査し試行を行う。また、国際化教育に関する国際会議等に参加し、交流先となる海外大学とのネットワークを拡大して、よりグローバルなプログラムを構築することを計画している。
具体的なプログラムを作成する一方で、グローバル社会で活動するために必要な能力や資質について、海外ではどのように考えられているかを特にEUが行う政策と比較し、日本の政財界が出しているものとの相違を見るとともに、グローバルな視点からの必要とされる能力や資質を考えていきたい。現在、ドイツの研究者と協同で日本と欧州の留学に対する見方の相違について分析し、2014年5月のNAFSA(Association of International Educators)にてポスター発表を予定している。

次年度の研究費の使用計画

最終目標の国際活動力強化プログラムの開発は、当初は他の3つの調査に基づいて設計し提案に留める予定であったが、他の調査と同時にプログラムの設計が早まったため、実際のプログラムを実施しながら他の調査も行い、改善点や修正点等を盛り込んで、より発展的な国際活動力を強化できるプログラムを開発していくことに研究のゴールを設定しなおしたためである。
「12.今後の計画の推進方策」に基づき、H26年度は発展的プログラムの現実化を目指し、海外大学とのネットワーク構築や実施打合せにかかる旅費等が発生する予定である。オンライン交流に使用する技術によって、機材やアプリケーション、インターネット環境の整備等が必要となる。
また、国際社会で必要な能力調査と国際交流プログラム調査では、参加学生に対する質問紙調査を行っており、それに対するデータ入力等の人件費と、面接調査で収集する質的データの分析ソフト等の購入を検討している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 研究方法について考える:グラウンディド・セオリー・アプローチ、ナラティブ分析、アクションリサーチを中心として2014

    • 著者名/発表者名
      灘光洋子、浅井亜紀子、小柳志津
    • 雑誌名

      立教大学

      巻: 1 ページ: 1

  • [学会発表] “Study Abroad” Different Perceptions in EU and Japan2014

    • 著者名/発表者名
      Albert MEIJ,Shizu KOYANAGI
    • 学会等名
      2014 NAFSA
    • 発表場所
      San Diego, CA, USA(アメリカ)
    • 年月日
      20140525-20140530
  • [学会発表] 大学における海外短期研修等プログラムが参加学生に与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      小柳志津
    • 学会等名
      第28回異文化コミュニケーション学会
    • 発表場所
      中央大学
    • 年月日
      20130921-20130922
  • [学会発表] 大学における海外短期研修やグローバル人材育成研修の成果と意義2013

    • 著者名/発表者名
      小柳志津
    • 学会等名
      第34回異文化間教育学会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      20130608-20130609

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公開日: 2015-05-28  

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