研究課題/領域番号 |
23531130
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
添田 晴雄 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (30244627)
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キーワード | 教育学 / 比較教育文化 / 音声言語 / 文字言語 / 学習教授 |
研究概要 |
日本の小学校5-6年生の国語と算数それぞれ2クラス、中学校2年生の国語と数学それぞれ2クラスのビデオ撮影をし、分析を行った。いずれも、音声言語とともに、文字言語も頻繁に用いるという日本の授業の特徴を表しており、本研究の仮説をさらに補強するデータとなった。 また、昨年度撮影したイタリアとスロベニアの授業につき、授業中に語られた教師と生徒のイタリア語とスロベニア語を補助員の助けを借りて日本語に翻訳し分析を行った。アメリカの授業でも音声言語中心であったが、それは教師と生徒がほぼ1対1(教師Initiation→生徒response→教師evaluation)でやりとりをするコミュニケーションパタンがほとんどである。しかし、イタリアとスロベニアはそのようなパタンに加えて、教師の発言に対して複数の生徒が同時に反応するというコミュニケーションパタンが多く見られた。今回、授業内容が日本語に翻訳されたことで、そのやりとりの文脈を詳細に把握することができた。イタリア・スロベニアの授業では、教師が質問し生徒がそれに答えるといった枠組みではなく、生徒自身が音声言語で理解の内容を表現する、それを教師が支援するといった枠組みで授業コミュニケーションをとらえるのが適切であるとの知見をえた。本研究は音声言語や文字言語の使用率を定量的に比較することを方法論としているが、その定量的差異を質的差異と関連づけて考察する必要性を再確認できた。 日本比較教育学会でイタリアとスロベニアの授業分析(一部)に基づき発表を行った。スロベニアやイタリアの教育の専門家から両国の授業コミュニケーションの特徴につき貴重な助言を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イリノイ州におけるビデオ集録を実現することができなかった。 イタリア・スロベニアの授業の継続分析は予定通り進んでおり、日本における集録もできた。また、来年度のヴァーモント州でのビデオ集録の目処がついた。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカンのヴァーモント州で、新たに数学2クラス、国語2クラスの授業をビデオ撮影し、分析を行う。 日本、アメリカ、イタリア、スロベニアにおける数学、国語の授業分析につき総合的な考察を行う。 総括を行い、日本の音声言語指導に資する知見を見出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
ビデオ撮影された授業につき、授業中に語られた教師と生徒の英語を日本語に翻訳する際、補助員に手伝ってもらう。 アメリカのイリノイ州に出向いてビデオ撮影を行う。 報告集を刊行する。
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