研究課題/領域番号 |
23531132
|
研究機関 | 尚絅学院大学 |
研究代表者 |
不破 和彦 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (60004115)
|
キーワード | 若年者の成人への社会的・経済的移行 / キャリア教育 / 若年者の進路選択 / 学校・企業・家庭との協力関係 / 職業教育・訓練 / 若年世代の労働市場 |
研究概要 |
1.研究課題である”若年者の成人への社会的・経済的移行”に重要な役割をもつ教育、特に学校教育で導入・実施されているキャリア教育に注視し、その実証的把握に努めた。 2.キャリア教育は若年世代の就職・就業問題への対応策の一つとして多くの国で政策的に推進されている。本年度はドイツの現状を対象に調査研究を行った。ドイツの学校教育課程は伝統的に職業教育と普通教育とに大別され、早期の教育段階で若年者に選択を求めている。この複線型教育課程と称される教育システムが若年者の将来的な進路選択や、成人に向けた社会的・経済的発達に寄与しているのか、またはどのような時代的な問題および課題に直面しているのかについて、ライプチヒ大学およびベルリン社会科学研究所などを訪問し、研究者との意見・情報交換を試みた。 3.ドイツの場合、学校では進路担当専門者が若年者個々の能力、性格、関心などを確かめ、将来的な進路選択を保護者そして本人との間で教育課程の早期段階から話し合い、若年者が社会で活動できる最適な仕事は何か、その実現に向けた計画的・継続的な指導を綿密に進めていく取り組みが行われている。 4.また、キャリア教育の具体的な実践とその成果をあげていくためには、学校とともに地域の企業、施設などの積極的な協力的参加が指摘されている。 こうしたドイツでのキャリア教育システムの現状は、日本では就職指導・支援として短絡的に位置づけられているキャリア教育を再考していく点で、多くの示唆を与えてくれる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.研究実施計画に基づき大学での教育・研究に影響を及ぼさない範囲で遂行していくことに留意している。 2.研究実施にあたって、本年度の場合、ドイツのライプチヒ大学、ベルリン社会科学研究所から協力を得ることができ、インタビューなどを行うことができたことによる。 3.ただし、当初予定していた前年度に引き続き韓国青少年開発院を訪ね、キャリア教育の実施状況をめぐる補充調査は、担当者との日程調整ができず、次年度に延期せざるをえなかった。この点が本年度の研究計画を適切に達成できなかった理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
1.これまでの2年度にわたり実施してきた調査は韓国を対象とする日本との比較検討であった。韓国はじめアジア諸国の教育制度およびキャリア教育の実施状況には類似性が強く指摘できる。この点に留意し、今後の社会変化に伴うキャリア教育の展開と、若年者の成人への社会的・経済的発達との関連について理解を深めていくことが今後の課題である。 2.それとともに、本年度、ドイツで行った研究活動のように、日本と教育システムの異なる国々のキャリア教育への取り組みを全体的に把握し、差異を明確にしていくことは、日本におけるキャリア教育のありかた、特に若年者の成人への社会的・経済的移行への寄与を見直す点からも必要であり、今後も着手していきたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
韓国青少年開発院を訪問し、前年度に引き続き、キャリア教育の現状、その成果と問題、課題について意見交換を行う調査計画であったが、担当者との日程調査が整わず、本年度に延期せざるを得なかった。 したがって、それに要する費用は次年度に使用することで、研究計画を遂行することにした。 本年度の9月に韓国青少年開発院を訪問することで日程計画している。そのための航空券、宿泊費、交通費などに研究費を使用する。
|