研究課題/領域番号 |
23531137
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中田 正弘 帝京大学, 教職大学院, 准教授 (20527345)
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研究分担者 |
伏木 久始 信州大学, 教育学部, 教授 (00362088)
鞍馬 裕美 帝京大学短期大学, 現代ビジネス学科, 講師 (50461794)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教師教育者 / 教育実習 / 教師教育 / 省察 / オランダの教育実習 / デンマークの教育実習 |
研究概要 |
教育実践と省察を軸とした教師教育実践プログラムの開発をめざし、本年度はプログラムを実際に実行・運用する「教師教育者」に焦点を当て、調査研究を進めてきた。11月にはアメリカにおいて、ATE本部(教師教育者協会)・NBPTS本部(優秀教員の認定およびトレーニングに携わる組織)・フェアファクス教育委員会等を訪問し、教師教育者スタンダードの作成経緯や運用実態、さらには優秀教員制度について聞き取り調査を行った。また3月にはオランダにおいてVELON(教師教育者協会)やロッテルダムPABO(初等教員養成機関)において、学校における教師教育者(主に教育実習を担当する指導教員)のスタンダードや機関・大学から提供される支援について聞き取りを行った。これら取り組みが教育実習の質保証とともに、教員養成機関における実務家教員の確保にも効果を発揮していることが明らかになった。さらにデンマークでは、大学等でトレーニングを受けた教育実習コーディネーターが学校に配置されるなど、実習指導の充実が重要な課題になっていることが明らかになった。ただし、コーディネーター育成の拡大には様々な課題があることなども把握することができた。3月には、デンマークDPUで開催された北欧教育学会において、教育実習生の成長発達の契機について、授業研究・教育実習リフレクションという2つの取り組みから発表を行った。今年度の取り組み成果は「教育実習の質保証をめぐる今日的課題~『教師教育者』という視点から~」として整理し、帝京大学教職大学院年報第3号に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、教師教育の充実・改善を「教師教育者」という視点からとらえ直すため、アメリカ、オランダ、デンマークにおいて広く情報収集を行った。訪問調査を行った国では、学校現場において教育実習を担当する教員も教師教育者として認められており、スタンダードの制定や大学・機関からの支援が講じられている事実を把握することができた。日本における教師教育者スタンダード開発や育成のためのモデルプラン開発にとって有益な情報を得ることができたと考えている。また、中央教育審議会答申教員の資質能力向上特別部会基本制度ワーキンググループ報告案(2012年3月)においても、教育実習を充実させるための仕組みや連携体制の構築が課題として示されており、本年度収集した情報は、こうした課題に対しても具体的な方策を提供することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、教師教育者を大学等で教員養成に携わる教員だけでなく、学校現場で実習生や若手教員の指導に当たる教員も含めてとらえている。そこで24年度は、学校で実習指導に当たる指導教員、急増する若手教員の指導に当たる中堅教員に焦点を当て、必要とされる資質能力や具体的な支援策について、質問紙による調査を実施する。調査は、小学校(全国の小学校から抽出)を対象に実施し、その後教育委員会にも依頼する予定である。また、24年度後半には調査結果を分析し、学校現場等における教師教育者養成のためのモデルプランを検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の主な使用は以下のとおりである。・質問紙調査の作成・送付・回収 ・データの入力および分析・国内外調査の実施(国外については23年度調査の補完として実施)・図書資料及び消耗品等の購入 ・会議費 ・その他23年度は円高によって海外旅費が当初の想定よりも大幅に低くなり、またオランダ出張の際にホテル側の不手際等で宿泊費が払い戻しとなったため、繰越金(50,908円)が発生した。繰り越し金については、24年度の国内外調査の旅費として充てる。
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