研究課題/領域番号 |
23531137
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中田 正弘 帝京大学, 教職大学院, 教授 (20527345)
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研究分担者 |
伏木 久始 信州大学, 教育学部, 教授 (00362088)
鞍馬 裕美 明治学院大学, 心理学部, 講師 (50461794)
坂田 哲人 青山学院大学, 情報科学研究センター, 助手 (70571884)
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キーワード | 教師教育者 / 教育実習生 / 若手教員 / 指導教員 / オランダ / デンマーク / アメリカ |
研究概要 |
本研究の目的は、教育実践と省察を結びつけたプログラムの開発にある。本年度の研究成果は以下のとおりである。 ①24年6月に、全国の公立小学校のうち5%を無作為抽出し、教育実習生や若手教員の指導にあたる教員にかかる調査を実施した。これは、実習指導教員および初任者等指導教員がどのような基準で選ばれ、どのような指導力量が期待されているのかを質問紙調査により実態把握し、大学での教員養成で重視されている要件と学校現場で教育実習生や初任者および若手教員を指導する教員に求められている指導力量との連携上の課題を明らかにすることを目的としたものである。調査の結果、指導者に期待される資質能力は、教育活動に意欲的であり、学級経営や子ども理解に関する実績的な知識技能を有していること、さらに後進の成長に意欲的であるといった人物像として抽出された。一方、少数ではあるものの、教育実習生および初任者・若手教員の指導者の選定にあたって、省察を重視している学校が存在し、それらの学校における支援・研修ニーズは他の学校群に比べて高いことが明らかになった。 ②23年11月・24年3月に実施した海外調査の結果を基に、9月には日本教師教育学会において「教師教育者の位置づけと役割― オランダ・デンマーク・アメリカとの比較を通じて ―」として報告を行った。オランダ・デンマーク・アメリカにおける教師教育者の位置づけ及びスタンダードをもとに、日本における教師教育者養成の現状と課題について問題提起を行った。 ③25年3月には、オランダ、ベルギーにおける教師教育者の育成にかかる調査を実施するとともに、北欧教育学会(アイスランド大学)で、日本の社会的変化に伴う学校教育及び教師教育施策の動向を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我が国の養成教育において懸案となっている教育実習生や若手教員の指導者の選定や位置づけについて、全国5パーセントの公立小学校を対象に、量的調査を実施することができた。また、本調査の分析により得られた結果をもとに、教師教育者の位置づけと役割について、アメリカ、オランダ、デンマークと対比させつつ、提案を行った(日本教師教育学会 24年9月)。 24年3月に実施した海外調査(オランダ教師教育者協会における教師教育者スタンダード、オランダ、デンマークの教育実習の現状や課題等)の成果については、論文により公表することができた(帝京大学教職大学院年報第3号)。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、研究最終年度に当たることから、以下の3点に重点を置いて研究を推進する。 ①教師教育者にかかる量的調査から抽出された問題点に対して、学校や教育委員会を対象とした質的調査を実施する。その上で、日本における教師教育者養成(主に、教育実習生や若手教員の指導を担当する教員を対象)のモデルプログラムの開発を試みる。 ②教育実践と省察を結びつけた教師教育プログラムの開発を行う。 ③オランダ、アメリカ、デンマークにおける教師教育者養成の現状と課題について整理を行う。 ④3年間の研究のまとめを行い、学会発表並びに論文投稿を通じて公表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究推進の方策に基づき、主に以下のように研究費を使用する。 ①学校、教育委員会等を対象とした調査 ②学会参加費(日本教師教育学会) ③交通費等(研究打合せ、合宿等)
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