研究課題/領域番号 |
23531138
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
中村 三緒子 日本女子大学, 人間社会学部, 学術研究員 (70440089)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育学 / 社会学 / ジェンダー / 職業キャリア / 高等教育 |
研究概要 |
本研究は高等教育機関を卒業した女性の職業キャリア分化を規定する要因を明らかにすることを目的としている。 高学歴女性の職業キャリア分化を詳細に把握するため、幼児教育者・保育士を目指す2年制専門学校の2年生にインタビューを行った。幼児教育者・保育士を目指す専門学校生に将来のライフコース展望や職業キャリア、進路選択、進路決定時期、家庭環境や母親の職業、働き方、子育て方法になどについてインタビューした。インタビューの結果、進路決定時期は幼稚園・保育園に通っていた幼少の頃、中学時代の職場体験時、高校の進路選択時に進路担当教員から勧められた時に分かれた。幼稚園教諭や保育士といった専門職を選択することに、最も強い影響を与えていたのは高校時代の進路指導教員より、母親や父親、兄弟姉妹であった。専門職への進路選択は特に家族の職業や職場環境から強く影響を受け、2種類の傾向に分類できる。第1に、家族が専門職に就いている場合は専門職に従事することを勧められたこと。第2に、家族が営業職に従事しているため、資格を取得することで日々の営業成績に振り回されることなく落ち着いて仕事ができる保育士や幼稚園教諭を勧められたことであった。 先行研究では、女性のライフコースは学校教育と卒業後の様々な条件によって分化すると考えられてきた。結婚後の家庭環境が女性の職業キャリアに影響を与えることは指摘されてきたが、家族の職業が女子学生の職業選択に影響を与えることは十分に議論されてきたとは言いがたい。本研究は、専門学校生の進路選択、職業キャリア展望に高校生の頃までの家族の職業や職場環境が影響を与えていることを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は高等教育機関を卒業した女性の職業キャリア分化を規定する要因を明らかにすることを目的としている。昨年度は高等教育機関に在学する学生に進路選択や職業キャリア・ライフコース展望に関するインタビューを行い、職業キャリア分化に与える影響を明らかにする計画であった。 昨年度は、幼児教育者・保育士を目指す専門学校生にインタビューを行った。進路選択や進路選択時期、職業キャリア展望、ライフコース展望、家庭環境や母親の職業、働き方、子育て方法などに関するインタビーの結果、家族の職業や家庭環境が職業キャリアやライフコース展望には強く影響を与えており、家族の職業観が直接子どもの職業選択、職業キャリア展望に影響を与えていることが明らかになった。 先行研究では、女性のライフコースは学校教育と卒業後の様々な条件によって分化すると考えられてきた。結婚後の家庭環境が女性の職業キャリアに影響を与えることは指摘されてきたが、家族の職業が女子学生の職業選択に影響を与えることは十分に議論されてきたとは言いがたい。本研究は、専門学校生の進路選択、職業キャリア展望に高校生の頃までの家族の職業や職場環境が影響を与えていることを明らかにすることができた。 ただし、昨年度は専門学校生のみを対象にインタビューを行ったため、短期大学や四年制大学の学生や卒業生へのインタビューは不十分であった。今後は短期大学や四年制大学の学生や卒業生へのインタビューも行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
・平成24年度は専門学校、短大、大学の各卒業生と在校生を対象に職業キャリア展望に関する調査を行う。・前年度にインタビューを行った学生たちのインタビュー結果を反映した調査票を作成し、プリテストを行う。プリテストの結果をより洗練させるため、高等教育や女子労働に関する最新の先行研究等から調査票の再吟味を行い、調査票を作成する。・平成20年度に「大学類型による女性の職業キャリア分化に関する研究」の調査回答者のうち、調査結果希望返送者の卒業生名簿を使用し、調査票発送名簿を作成し、調査票を発送する。また、専門学校と短大は教務課や卒業生の会に依頼して使用許可を得た卒業生名簿を利用し、調査票発送名簿を作成し、調査票を発送する。・上記と同様の高等教育機関の在校生に対しても調査票を配布し、調査を行う。調査票は授業などの時間を利用して配布し、その場で回収する。
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次年度の研究費の使用計画 |
・調査結果の分析を行う。・高等教育機関別学類型による大学卒業生調査結果の比較を行う。・前年度までに把握できなかった点を補足するための聞き取り調査を行う。・科学研究費補助金(基盤研究(C))平成19~21年度「大学類型による女性の職業キャリア分化に関する研究」結果と(基盤研究(C)(2))平成12~14年度「女性の高学歴化に伴う晩婚化と職業キャリアの関連性についての研究」結果、今回の調査結果との比較を行う。・研究成果をまとめ、報告書を作成する。
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