研究課題/領域番号 |
23531142
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
秋葉 昌樹 龍谷大学, 文学部, 教授 (30330020)
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キーワード | 学校臨床社会学 / 実践コミュニティ / 応用演劇 / 養護教諭 / エスノメソドロジー |
研究概要 |
養護教諭らと共同運営してきた応用演劇コミュニティにおける脚本ワークショップ及びフォーラムシアターの開催(演劇上演+討論)、そのパフォーマンステクストを分析した。 フォーラムシアターは、観客ないし演じ手が日頃直面しがちな問題をとりあげ劇として上演し、観客を巻き込んだ討論(フォーラム)と劇(シアター)の再演を繰り返しながら問題状況における変化、変容可能性を探っていく手法である。それはいわば演劇を用いた社会教育的実践とも言いうるものであり、分析では、その主たる目的をフォーラムシアターを中心とする応用演劇の手法によって、養護教諭が日常的に抱える問題意識やその「仕事の流儀(=エスノメソドロジー)」と向き合う作業を支援する方法について考察し、学校臨床社会学の新たな展開可能性を探ることにあてることから着手した。分析の一段階としてまとめた論文「臨床教育研究としてのフォーラムシアター--社会学的考察の試み」は2013年『教育社会学研究』誌に掲載される予定である。 同時に本年度には、養護教諭らによる場作りの性質に関する基礎的検討作業を進めた。具体的には、養護教諭らが主体となり校外でボランタリーに運営する実践コミュニティワークに共同参画しつつ、検討作業を進めた。検討作業は主として養護教諭らの仕事の流儀をいったん学校というコンテクストから切り離し、養護教諭らのワークの特質としてあらためて捉え直そうとする試みである。25年度にも継続し分析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、上述の養護教諭らと共同運営してきた応用演劇コミュニティにおける脚本ワークショップ及びフォーラムシアターの開催(演劇上演+討論)、そのパフォーマンステクストを分析する作業に関しては、おおむね順調に進められていると言える。 他方、本年度に予定していた内外の文献等を用いた応用演劇に関するレビュー作業に関しては、予想された進捗は叶っていない。しかし、研究協力者との関係において、あらためて養護教諭らによる実践コミュニティワークの性質に関する基礎的検討作業を進める作業に従事し得たという意味では、本研究の深化を図る上で重要な展開を見つつあるとも考えられるため、次年度においては、本年度に必ずしも十分に展開し得なかった内容、とりわけ文献レビュー作業に関して十分な成果を提出できるように研究を進めることとしたい。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、本年度の自己点検を踏まえつつも、当初の計画をベースに進めていくことになるが、今年度に予定しつつも、やや遅れがちな文献レビュー作業に関しては、十分な成果を提出できるように研究を進めることとしたい。また本研究計画を進める上で重要な課題として追加的ないしは発展的に浮上してきた養護教諭らが主体となり校外でボランタリーに運営する実践コミュニティワークの構造的特徴を明らかにするという課題に関しては、フィールドワークの機会を増やし、実地調査に基づく研究を進め、学校臨床社会学ないしは教育臨床社会学に関わる成果に結びつけうる基盤の厚みを創出したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度には予算執行額が100%に満たなかったが、その原因は年度末に予定されていたフィールドワークがキャンセルになったことで生じた旅費を中心とする未執行分が主たる要因である。次年度には研究協力者との日程調整等をはかりつつ本年度未執行予算を含めた研究推進をはかりつつ計画を進めたい。
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