平成25年度における研究は、以下のように実施した。 第1は、前年度に引き続き連立政権によるフリー・スクール政策に関する文書、資料等の収集・分析をおこなった。 第2は、イギリスのフリー・スクール等の訪問調査実施である。訪問調査の期間は2013年10月28日から11月7日までの12日間である。この調査においては、Association of Teachers and Lecturers(ATL)本部、University College Union(UCU)本部、Local Government Association(LGA)の教育問題担当者を訪問し、ATL、UCU、LGAのフリー・スクールに対する態度等についてインタビューを行った。また、軍隊出身者のみが教師となるために注目されているフリー・スクールの申請代表者へのインタビューを行った。さらに、連立政権の中等教育改革において中核的位置を占めると考えられ、フリー・スクールでもあるユニバーシティ・テクニカル・カレッジに関連してBaker Dearing Educatinal Trust本部を訪問し、UTC政策について代表にインタビューを行うとともに、UTC2校への訪問調査を行った。これらの調査では、例えばLGAが、フリー・スクールが学席余剰の地域に開校されていることに対して反対するなど、フリー・スクール設立における合理的根拠の欠如への批判が見られること、さらにATLの態度に見られるように、教員組合のフリー・スクールへの反対は依然として根強いものであること等が明らかとなった。
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