本研究は、2010年6月にイギリス連立政権によって開始されたフリー・スクール(以下FS)政策の実相を比較教育学的視点から明らかにすることを目的とする。そのため文献・資料の分析及びイギリス並びにスウェーデン(イギリスがモデルとした)への計5回の現地調査を行った。連立政権によって教育水準向上にとって大きな効果をもたらすとされたFSに対しては、親の学校設立の自由を認めたとしてFSを強く支持する立場がある一方、大半の教員組合がFSは教育における地方民主主義を壊すといった理由で反対するなど、FSをめぐって厳しいイデオロギー的対立が存在している。さらにFS認可における透明性の欠如への批判も強く見られた。
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