研究課題/領域番号 |
23531147
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
前田 輪音 北海道教育大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30326540)
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キーワード | 憲法教育 / 授業プログラム / 平和的生存権 / 長沼ナイキ基地訴訟 / 恵庭事件 |
研究概要 |
① 長沼ナイキ基地訴訟(以降「長沼訴訟」と略)の授業プログラム作成のための調査…2月に富山にて、長沼訴訟の一審判決を出した福島氏の聞取りを実施、判決を起案した際に恵庭事件一審判決(確定)を意識したかどうか、平賀書簡をはじめ様々な圧力について、高裁・最高裁で一審判決が覆されるだろうことを見越してなお自衛隊違憲判決を出した意図、長沼訴訟を学ぶ中高生へのメッセージ、判決から40年経った今日の自衛隊の現状、などについてうかがうことができた。 ② 恵庭事件の授業プログラムの改訂等の作業(北海道の自衛隊裁判として長沼訴訟と密接なかかわりをもち、かつ長沼訴訟への橋渡しとしての視点で) ②-1 野崎健美氏(元被告)とその支援者の聞取り…長沼・恵庭両訴訟ともに自衛隊裁判は、生きることに直結した人間の素朴で根源的な行動であることを再認識した。 ②-2 授業実践報告…前年度に実施した高校での授業実践を東京(7月に全国民主主義教育研究会全国大会)で報告した。以前行った中学実践との比較および長沼訴訟の授業プログラムへの橋渡しの観点を主に福島氏の聞取り結果(上記①)をもとに北海道名寄(3月に北海道教育学会研究発表大会)にて報告した。中・高生の回答を比較すると自衛隊演習被害への対策案の傾向は若干異なるが判決で無罪とするものが多いことが共通しており、実際の判決への不満も同様であり、長沼訴訟(の一審判決)が当時の社会的要請だったと同時に、中高生の認識の流れでもあることが確認された。 ③ すぐれた授業実践の調査…全国民主主義教育研究会の中間集会(1月東京)で日中国交問題(立命館宇治中高)や、模擬裁判(日本学園中高)の実践などの報告を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長沼ナイキ基地訴訟を素材に授業プログラムを作成するにあたり、その前段としての恵庭事件の授業プログラムの改訂作業、および長沼訴訟への橋渡しの方針はたった。 しかしながら、長沼訴訟の関係者からの聞取りや、諸資料の解読(2011年度に収集したもの等の検討)など、素材の量は膨大なため、どこに焦点をあてて構成するかなど、予定していた以上に時間と手間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度から引き続き、関係者の聞取り、文献や研究会や講演会などでの資料および情報の収集、すぐれた授業実践の調査、授業プログラムの草案の作成、試行的実践、学会発表、報告書(論文)の作成などを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
現時点で、以下の執行を予定している。 ①旅費支出…関係者の聞取り・講演会や研究会等での情報収集・試行的実践の見学およびその打ち合わせ等のため ②物品費支出…文献や資料集めのための図書費支出、データ整理のためのPC周辺機器・記録媒体・ソフトウェア等購入、授業実践用プリントの用紙・プリンタトナー等、資料保存用文具等のため ③人件費支出…聞取りや授業実践などのテープおこし等のため
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