研究課題/領域番号 |
23531150
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
蝦名 敦子 弘前大学, 教育学部, 教授 (20302010)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 図工科学習モデル / 小学校 |
研究概要 |
本研究課題「小学校の特性を活用した図工科学習モデルの構築」は、小学校では教科以外にも多様な学習形態があることに着目して、図画工作科との関わりの中でそれらの特色を活かした学習の在り方を検討しながら、小学校の特性を活用した図工科学習モデルを構築しようとするものである。 平成23年度は以下の観点から考察した。 1.小学校の低学年について、遠足の校外学習との関連から動物をモチーフとする表現の実態に言及し、とくに鑑賞授業に関して実践を行い、検討した。 2.3年生と5年生によるペア学級の活動に注目し、「造形遊び」について対比的に考察した。そして「造形遊び」の意義と課題について再検討した。 3.研究者が校長を併任していた2011年に、弘前大学教育学部附属小学校に中庭(パティオ)が整備された。小学校の環境と中庭の整備について取り上げ、彫刻によるアート空間が建設された経緯に言及した。 初年度は、当初、本研究について低学年を中心に実施する予定であったが、実際には時機を得た他の内容や他学年の注目すべき活動があり、それらが優先されたことになる。小学校の図工科の授業内容について、校外学習(1・2年生)やペア学級活動(3年生と5年生)、アート空間の環境整備による連携や関連から考察を進めることができた。図工科の内容―表現と鑑賞について、小学校で行われる行事や校外学習、新たな環境整備によるアート空間の特色と関連づけると、教室の中だけではなく、広がりをもったダイナミックな図工科の活動が可能となる。これからも継続して、小学校の特性を活かした図工科の活動がさらにどのような可能性をもっているのか、他の学年や様々な行事、校外学習などについても、尚一層の考察を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、小学校の特性を活用しながら新たな図工科学習モデルを構築しようとしており、低学年については、1年生と2年生の表現の実態を振り返りながら、新学習指導要領で求められている鑑賞の問題について言及した。その際、校外学習で実施された動物園への遠足との関連から考察ができた。 ペア学級活動は、3年生と5年生がペアになって実施する活動である。両学年が一緒になって実施した活動「巨大迷路をつくろう」が、考察の対象となった。この実践がまさに図工科の「造形遊び」の内容と捉えられ、実践後に書かれた5年生のワークシートを検証しながら、「造形遊び」そのものの意義と課題について再検討することができた。 また、研究者が附属小学校長を併任していたため、管理職という立場から独自に考察が可能であったのが、中庭(パティオ)を整備したことである。小学校をとりまく環境という視点から、新たに中庭をアート空間として整備することができた。そのことについて問題意識を整理し、どのようなコンセプトでデザインがなされ、完成に至ったかについてその経緯と現状に言及した。今後このパティオを活用した活動がさらに期待される。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、予定されていた幼少連携の活動について考察を進めるとともに、中学年の地域や郷土との連携も視野に入れる。とくに4年生の校外学習を通して、社会科の内容と理科の学習内容をねぷた制作の技法と関連させ、さらに「ねぷた祭り」に参加して鑑賞を楽しむという一連の複合的な題材について、考察を進める予定である。 また平成25年度は高学年を中心に進める予定であるが、授業実践ができる機会と状況を勘案しながら、学年を問わず、可能なところからさらに研究を進めていきたい。 完成した中庭(パティオ)での活動は、継続して図工科の授業との関連で考察が続けられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に購入する予定であったビデオカメラ、デジタルカメラを購入する。ビデオなどの編集により、文字では表現できない子どもたちの活動のダイナミズムを映像で残すことを検討し、そのための研究補助や専門的知識の提供も受けることになる。謝金の費用も一部がそこにあてがわれる。 学会発表は継続して行うため、旅費も使用することになる。また鑑賞教材の資料収集も継続して実施するため、一部旅費から調査・研究費として使用されることになる。 その他として研究成果投稿料が継続して使用される予定である。
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