研究課題/領域番号 |
23531150
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
蝦名 敦子 弘前大学, 教育学部, 教授 (20302010)
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キーワード | 図工科学習モデル |
研究概要 |
本年度は、小学校2年生と4年生の工作の内容と、6年生の平面表現を取り上げ検討した。 1.低・中学年の工作に関しては、現行の学習指導要領で、これまでの「つくりたいものをつくる」から「工作」に変わったことを受け、小学校の特性を中学校美術とは異なる図画工作という教科内容から捉え、実践的にその意義について考察した。また、中学校技術・家庭科の技術分野と関連する教科であることに配慮し、技術科の内容を視野に入れて、弘前大学技術教育講座木材加工の教員も加わり共同研究をした。その研究成果は、「図画工作科における木工作題材の検討と課題」にまとめられた。 2.4年生の工作の授業実践の題材「わたしたちのめざすかたちに~小さな大工さん~」は、昨年の4年生の題材「ようこそ、わたしたちのまちへ」と連携している題材である。そこで、この二つの題材がどちらも地域のねぷた祭りと関連づけられていることから、小学校の特性を地域性という観点から捉えて考察した。その成果は、「地域性を取り入れた図工授業の実践―題材『ようこそ、わたしたちのまちへ』を通して―」と、「図画工作科における地域性を視野に入れた教材化―ねぷたの灯籠製作をめぐって―」にまとめられた。 3.6年生の平面表現は「奥行き」に注目した絵の題材で、小学校高学年の「共通事項」を検討した内容である。本題材は、小学校の6年生の描写力を確認することができる授業実践で、6年生117名分の絵を分析した。その内容は「小学校高学年の造形的特徴『奥行き』に関する一考察」で展開された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、小学校低学年の校外学習と関連する表現と鑑賞の実態について、3年生と5年生によるペア学級の造形遊び、小学校のアート空間の整備に関する学校環境の視点から、研究を進めており、平成24年度は、2年生と4年生の工作、6年生の絵画製作に注目した。全学年にわたって授業実践ができている。今年度の最終年度は、「図工科学習モデルの構築」という課題にとりかかる。小学校の特性を改めて整理し、それを生かした全学年の図工科の内容を検討しながら、これまでの実践結果を踏まえて、一つのモデルを提案していきたい。そのためには、研究期間内に実施される題材はこれからもできるだけ多く視野に入れながら、同時に学習モデルを構築するという観点で研究を進めていくつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、3年生の校外学習や5年生の宿泊体験学習など小学校の特性を示す内容との関連で授業実践を取り上げ、さらに考察を進める予定である。そして、これまでの実践と考察を総合的に捉えて、学習モデルの構築を試みる。また、これまでの研究成果は、今年度が本研究の最終年度となるため、報告書としてまとめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ビデオ撮影をこれからも行い、引き続き記録に残すため、研究補助、専門的知識の提供で謝金があてがわれることになる。またビデオ撮影や編集、報告書を作成するにあたって、設備備品費や消耗品費が使用される。学会発表は継続して行われるが、最終年度としてこれまでの成果を発信するため、学会や研究会などに積極的に参加し旅費が使用される。また鑑賞教材の資料収集は継続的に行われるため、一部旅費から調査・研究費として使用されることになる。その他として研究成果投稿料が継続して使用され、報告書の印刷費が使用される予定である。
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