研究課題/領域番号 |
23531154
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
井門 正美 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60312691)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | ゲーミング・シミュレーション / 事件報道 / メディアリテラシー / 裁判員 / 役割体験学習 / 刑事事件 / 原発問題 / 東日本大震災 |
研究概要 |
本研究では、司法に参加する市民のメディアリテラシーは、広い視野と多角的な視点が必要であるという認識から、「事件報道」の「事件」については、「社会的問題」と広く捉えた。その上で、「事件」を「1.社会的問題としての事件」と「2.刑事事件」とに大きく2分して設定し、考察対象とするメディアをテレビ、新聞、出版(書籍・新聞)、ソーシャルメディアを選定して、研究を開始した。 まず、「社会的問題としての事件」では、研究開始前に発生した東日本大震災、特に「原発事故」の報道について、メディアごとにデータ・資料の収集を行い、各々の特色を明らかにする作業を行った。また、「刑事事件」に関しては、文献・資料の収集、学会発表(「役割体験学習論に基づく法教育―法教育実践の理論的枠組-」法と教育学会第2回学術大会、2011.9.4)、模擬裁判員裁判の実施(筆者の関わる新学術領域研究)、弁護士会の法教育活動や検察の可視化に関わる調査、裁判員経験者を囲む会(秋田法教育研究会との連携)等を実施した。 当初の研究計画では、本年度中に「ゲーミング・シミュレーション教材『事件報道』」を完成させるという予定であったが、各種メディアによる大震災や原発事故関連の報道が長期にわたりその量が膨大であったために収集や分析考察に時間を要したため、完成させることはできなかった。しかし、学会において「命を守る資源エネルギー教育(1)-社会系教科教育は原発問題にどう取り組めばよいのか」日本社会科教育学会第61回大会、2011.10.22)で発表を行い、その上で学生と共に教材の基盤作りを行ったこと、さらには、研究室ホームページに本研究関連コンテンツを随時掲載して、広く研究を公開することができたことが成果であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、事件報道に関して、特に、大震災(原発事故関連)の報道に焦点化してデータを収集し分析考察していることから、事故以前に立てた研究計画通りには行かなかった。また、メディアリテラシーの育成という観点からすれば、ゲーミングシミュレーション教材は、「社会的問題としての事件」と「刑事事件」との2つの教材部分を作成する必要があるため完成までに時間がかかるということになった。 以上のような教材開発に関わるこうした諸事情はあったものの「刑事事件」に関する調査研究は進展しており、大震災関連の事件報道のデータ収集が整えば、これまでの開発ノウハウがあるのでゲーミング・シミュレーション教材「事件報道」を開発することにはそう時間はかからない。 本年度は、データ整理を行い、早い段階で2つの教材部分を関せさせて、ゲーミング・シミュレーション教材の完成を図り、実践をしようと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、これまでの膨大な調査研究の分析考察結果に基づき、「ゲーミング・シミュレーション教材『事件報道』」を開発し、実践することを目的とする。また、研究成果については、随時、研究室ホームページに掲載して公開したい。 平成25年度については、当教材を用いた実践結果を分析考察すると共に、教材の公開を行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の研究費は、11,269円の残額が出た。この金額については、購入予定していた本が24年度に出版されることになった等の事情があり、文献資料購入代金として24年度に回した。24年度の文献資料購入費用として活用する予定である。
|