研究課題/領域番号 |
23531154
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
井門 正美 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60312691)
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キーワード | 役割体験学習 / ゲーミング・シミュレーション / 知識と行為の統一 / 協働と体験による学び / 他者存在の意義を感じる学習 |
研究概要 |
本年度は、昨年度の研究計画の多少の変更に基づき、「裁判員へのメディアリテラシー」というものを広義に捉え直してゲーミング・シミュレーション教材を作成した。すなわち、昨今、大きな社会問題となっている「いじめ」に注目し、いじめ問題が刑事事件と民事事件双方に関わる点を捉えて「ゲーミング・シミュレーション教材『学年会議・職員会議』」並びに「ゲーミング・シミュレーション『民事裁判』」を開発し実践した。「いじめ問題」や「いじめ事件」が発生した場合には、まず、学校は当該関係学年が学年会議を開き、そこで事実確認や対策を議論する。さらに、学校の全体会議である職員会議を開催していじめ問題やいじめ事件に関して対策を話し合う。こうした学校内での会議は、マスコミでも明らかにされない。しかし、教員養成系の学生には、この学校内における学年会議や職員会議で「いじめ問題・事件」をどのように捉え、議論しているのかを学習させる模擬体験が必至である。この模擬体験の中で、「いじめ」に関する事実の捉え方、関係者への調査、いじめの解決策等について、適切な問題把握や解決に向けた知識・技能・態度を身に付けさせていくことが重要である。こうした考えから、これら3つの教材を開発し実践したのである。特に、いじめ問題が拗れて法廷闘争になったケースとして「模擬民事裁判-いじめPTSD事件-」を製作実践したが、参加した学生は、法廷闘争ではどのような争点となりいかなる法令に関して争われるのか等、体験的に理解している。そうした中で、法廷内では証拠に基づく審理が行われていることを理解し、法廷外でのメディア報道を適切に判断する態度や技能も身に付けている。 以上のことから、ゲーミング・シミュレーション教材3点を作成し実践し、事後評価を行って完成させたことが、本年度の成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度における研究と実践は、当初1つの教材として「ゲーミング・シミュレーション『事件報道』」を作成し実践することであった。しかし、「裁判員へのメディアリテラシー」を広義に捉え、今日、大きな社会問題となっている「いじめ問題」に注目して、裁判の対象事件を刑事事件のみならず民事事件にも広げたことで、3つの教材作成と実践へと発展した。この点が、本年度の大きな成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、3つのゲーミング・シミュレーション「学年会議」「職員会議」「民事裁判」について、実践報告書とDVDを作成する予定である。 なお、本年度は「裁判員へのメディァリテラシー」という本研究の副題をテーマとしたゲーミング・シミュレーション教材を開発し実践する予定である。 最終的には、著書・論文、学会発表、教材集、ホームページでの公開を行って、本研究のまとめとしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
すでに、前項で書いている研究を推進するために研究費は次のような観点で使用する予定である。 1.ゲーミング・シミュレーション教材開発費(謝金、編集・印刷費)、2.出版・印刷費用(著書出版や教材作成に関わる編集費・印刷費等の経費)、3.学会参加・調査研究費(研究の成果を公開するための旅費や調査費)、4.謝金(実践データのテープ起こし・データ入力・資料整理等の作業費)、5.ホームページ構築・保守費(成果公開のためのホームページ作成費及び管理費)、6.物品費(動画・写真・文章等を電子コンテンツ化するための設備・備品費) 以上が、現在、考えている研究費使用計画である。
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