本年度は,我が国の小学校教員養成課程における目的や用途を意識したものづくり教育担当教員養成プログラムのあるべき方向性について検討した。 プロジェクト的な活動を中心とした設計・製作(ものづくり)学習のあり方とその学習内容,指導方法,教材の有効性の結果を基に,小学校教員養成課程において,ものづくり学習を担当できる教員を養成できるプログラムとして,独自性のある教科選択科目の創設やその教材開発を行った。特に,ものづくり教育担当教員養成プログラムについては,諸外国や国内で先進的に実践している事例等を参考にして,教科選択科目の内容や教材の配列を行った。 前年度の調査より,小学生5年生において器用意識が低下し,ものづくり嫌いも急激に増加する傾向や,製品を評価する力,機械等のしくみ,それらの知識を活用することは役立たないと考える傾向が見られたことから,教員養成においては,科学的な分析による手先・指先の技能について検討する教材を開発し,それらを用いた効果を検討した。 また,ボール紙によるものづくりや,シミュレーションを用いて製品を評価したり,計測・制御技術を利活用したりしたものづくりを通して,自ら課題を乗り越え,成功経験を得させ,創造・工夫に関する資質を高めるとともに,社会や環境,安全に関連する技術を意識する教材を開発した。 ボール紙によるものづくりに関しては,I大学教育学部学生を対象にして,30時間の授業を計画,実施し,その有効性を検証した結果,おおむね良好の成果を得ることができた。
|