研究課題/領域番号 |
23531157
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中村 敦雄 群馬大学, 教育学部, 教授 (60323325)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 読むこと |
研究概要 |
平成23年度(第1年目)における研究実績としては,研究論文3編の公刊が挙げられる。くわしくは,次のとおりである。(1)自身による研究の再検討として,過去に行った自身の研究について,争点の把握,研究方法論の妥当性等リフレクションを行った。必要に応じて他の研究者による批判的検討を要請した。(2)国内外の文献収集・検討として,「マルチモーダルテクスト」に直接関係した海外の先端的な研究成果や,「読むこと」についての伝統的な研究成果を広く渉猟し,関連する諸争点を把握した。(3)学会参加により,論文化されていない先端的争点の把握・情報交換・議論を行う。母語教育に関連する学会だけでなく,教育工学等の隣接学会にも参加し,ネットワークを確保した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度(第1年目)における研究の達成度は,次のとおりである。 研究業績で記した(1)~(3)について,達成をみた。一方,次の点については,機材やソフトウェアの未整備,研究環境整備の遅れ,さらには,研究手法の見直しのために,初年度の着手を控えた。そうした不足については2年目以降に回復を期する。 (4)実践参与観察としては,従来,研究上で交流のあるイギリスやオーストラリアはもちろん,「マルチモーダルテクスト」の試行で注目されている国や地域にも範囲を広げて現状の把握やデータの収集に取り組む。 (5)マルチモーダルテクストを「よむ」実態研究については,プロトコル等を取るなどして,実際に学習者がいかにして「よむ」のか,研究上の分析・検討の枠組みを仮説的に構築する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については,次のとおりである。 上記の(4)に関しては,文献的な方法による現状の把握やデータの収集が可能であることが判明したので,方法論上の選択肢を広げて取り組む。 上記の(5)に関しては,附属学校園との連携を生かしながら,研究に従事し,研究上の分析・検討の枠組みを仮説的に構築する。 初年度に遅れがちであったこの2点については,平成24年度(第2年目)の優先的な課題として位置づけ,研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の推進方策のうち,実践参与観察に関して当初申請時の予定と変わったために,結果的に研究費の未使用が生じ,繰越を行った。そこで,当該繰越額は,実践参与観察やその成果を学会等で発表するための旅費として使用する。加えて,以下のような使用計画にもとづいた研究を推進する。 (6)国内外の文献収集・検討においては,前年度に引き続き,諸争点の把握につとめるとともに,その妥当性についての理論的検討を行う。 (7)学会参加により,先端的争点の把握の把握につとめるとともに,学会における研究発表や,シンポジウムやラウンドテーブル等の機会をとらえて議論に参加することで,成果の妥当性について検証する機会を設ける。 (8)実践参与観察では,データの収集を進めることで,よりデータの確実性を高めるとともに,その内容についての批判的な検討を行い,観察において起こりやすいバイアスなどの低減を行う。 (9)マルチモーダルテクストを「よむ」実態研究については,前年度に策定した枠組みを生かして,被験者を増やして,発達論的な視点も加えつつ,実態の解明に当たる。
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