平成24年度における研究実績としては,以下の2点が挙げられる。 第1に,成果として公刊されたものとして,学会誌掲載課題研究論文1編(「国語科教育学における『メディア』概念の射程」『国語科教育』(全国大学国語教育学会)第72集,平成24年9月,85~89頁,ならびに共著書中の分担執筆1編(「教科内容を保障する授業づくり」,東京学芸大学国語教育学会他編著『小学校子どもが生きる国語科学習用語』東洋館出版社,平成25年2月,98頁)が挙げられる。ここでは,マルチモーダルテクストを含めたメディア一般を対象としたフレームワークや,教科の学習としてのポイントを示すことができた。研究課題として掲げた理論的基盤のうち,文献的な研究の成果としては十分な成果が蓄積されつつある。 第2に,現時点で進行中の研究として,群馬大学附属小・中学校との共同研究がある。こちらも相応の成果を得ることができている。その一端は,早くも「毎日新聞」平成25年2月9日・23日掲載の記事において広く紹介された。関係者からの反響もあり,社会貢献につながる成果が期待されているところである。ただし,これらの成果を学会において発表したり,論文として公刊するには,もうしばらく検討の時間も要することから,発表・公刊の時期としては次年度(平成25年度)を予定している。このように,研究課題として掲げた理論的基盤のうち,実践知に踏み込んだ研究においても,確実な成果につながるデータが明らかになってきた。
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