研究概要 |
本研究では、戦前の師範学校における図画教育家・赤津隆助の研究を進めることにより、今日の教員養成において見直すべき点を明確化しようとした。 初年度の平成23年度は、「赤津隆助の教育思想形成研究」に関し、文献による概要把握を行った。 次に、「師範教育と赤津隆助の教育思想との関連性の追究」のために、「明治時代後期から昭和戦前期の師範学校の学科課程調査」の資料収集を行った。また、かつて行っていた増田による美術教育者インタビューのテープ起こしを行い、「赤津隆助が与えた教育的影響」の追究のための資料を作成した。 平成24年度には、「赤津隆助の教育思想形成研究」を完了し、論題「赤津隆助の教育思想形成―赤津に影響を与えた教育・美術教育思想―」として論文(大学美術教育学会誌,2013)を執筆した。これにより、赤津という教育者として優れた人物が形作られていく過程を明らかにした点は、本研究の成果であると言えよう。次に、前年度に引き続き、師範学校の学科課程調査のために文献収集をし、考察を行った。また、美術教育者インタビューのテープ起こしの整理と考察を済ませた。 赤津は、青山師範学校において多くの美術教育者や有為な人物を育てている。こうした人材そのものに「教育の成果」を見ることができる。最終年度の平成25年度は、こうしたことを視野に入れつつ、赤津の与えた教育的影響についてまとめ、論題「赤津隆助が与えた教育的影響―東京府青山師範学校での教え子・武井勝雄や倉田三郎との関連を中心として―」として論文(美術科教育学会誌,2014)を執筆した。 赤津は、「幅広い人格の育成」のために「師の姿勢から感じとらせるという方法」をとったことなどをその論文(本研究)において明らかにした。このように赤津の教育的影響力を明確化したことは、今日の教員養成に対し、示唆を与えたと言え、本研究の成果である。
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