知識再構成型理科授業システム構築において、最も重要な要因は児童・生徒が科学概念構築状況を自ら調整して活動を進めることにあった。そのために、必要な教授上の措置は彼らの学習状況についてのアセスメントである。このアセスメントの構造を分析することが、本研究の主眼である理科授業システム構築に寄与する。その構造は次の要素が盛り込まれているものである。 「児童・生徒の既有知識の分析」「児童・生徒の既有知識への情報のフィードバック(評価規準の児童・生徒と教師との共有、ダイナミックアセスメント、転移の促進の三つがこの活動の基本的な要素になる)」「教授活動の評価(教師による教授活動の適否についての情報収集)、という三つ要素である。これら三つの要素を段階的に理科授業に取り入れていくことにより、上述した活動は実現された。具体的には次の活動として現れた。 理科授業において児童・生徒に科学概念構築された結果について、常にパフォーマンスを求め、これを教師が適宜アセスメントする。アセスメントの蓄積が児童・生徒による精緻化された科学概念として現れた。科学概念として言葉を的確に表現する、表現内容を咀嚼することができる、的確な根拠を基にして説明をすることができる、ということが精緻化された科学概念と定義できるが、アセスメントの繰り返しにより、この活動がより深化する様態を記述することができた。 知識再構成型理科授業システム構築は、自己調整学習として現れ、形成的アセスメントを機軸とした教授・学習過程に包含される教授・学習方略として具現化されることが明らかになった。
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