研究概要 |
本研究の目的は,読み書きの学習に対する苦手意識が強く,普段の一斉学習だけでは学習が困難な児童を対象として,子ども同士の相互交渉が容易であり,かつ共同学習の機会を計画的に組織できる小集団学習場面を活用した文字学習支援方法を,実践的な観点から検討することである。 本年度は,昨年度実施した小集団学習場面設定に関する文献レビューの成果とともに,1年間実施した放課後学習会の実践的成果に基づき,引き続き学習支援活動を実施した。市内小学校において学習会を19回開催し,最大31名の児童を3グループに分けて小集団を形成した。これらの小集団を対象として,文字学習を含むオリジナルの学習課題を準備し,内発的動機づけに基づく学習支援を実施した。今年度は,特に,他者に自分の考えを伝えたり,他者の考えに注目したりするコミュニケーションに関する力を育成することを目指した活動を実施し,他者とのコミュニケーションの文脈における文字活用について検討した。 また,院生のための文字学習支援方法に関する学習プログラムを継続して検討するために,研究協力者として参加した9名の院生を対象として,昨年度と同様に学習支援活動に対する主体性,自らの学習目標の達成度,支援に関わるさらなる学習課題等について自己評価を求めた。 さらに,本研究の遂行に関連して,アメリカ心理学会に参加し研究発表を行うとともに,日本特殊教育学会において自主シンポジウムを開催した。以上の活動により,本年度は小集団における児童の学習支援方法の検討を推進することができた。成果の一部は研究代表者が開設するホームページ上でも公開した。これらの成果を受け,来年度も小集団学習支援を継続し,さらに支援方法改善のための検討を重ね,研究成果のまとめを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,小集団場面を活用した文字学習支援方法を,実践的な観点から明らかにすることである。本年度は,その目的の達成に向け,昨年度に引き続き1年間を通して学習支援活動を継続し,文字学習状況を把握するための評価方法及び支援方法の試行的実施,院生のための文字学習支援方法に関する学習プログラムの策定をめざした。その結果,研究の遂行に支障となることはなく,当初の計画通り研究を進めることができた。合わせて,来年度以降も引き続き研究を遂行できるように準備を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も引き続き小集団活動場面として放課後学習会を活用するため,そこで使用する教材作成の材料や支援実施記録に使用するメディア等を購入するために物品費を使用する。また,教材作成,支援記録分析の補助,研究成果の整理補助を依頼するために人件費謝金を使用する。さらに,研究成果の発表,研究推進に必要な情報収集を目的として,アメリカ及び国内の学会,研究会に参加するための旅費を使用する。その他,文献収集,学会参加費等にその他の経費を使用する。
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