本研究の目的は、「実践的推論プロセス」と称する問題解決学習を中心柱に据えてカリキュラムを開発し、教育現場へ普及・定着させている、オハイオ州の家庭科教育プログラムを分析し、日本の家庭科における問題解決学習への適用とプログラム開発を行うことである。 米国オハイオ州にて、実践的推論プロセスを含む問題解決学習の授業、評価、オハイオ州スタンダード、ナショナル・スタンダード等について、高校での授業参観、また、高校家庭科教師およびオハイオ州立大学教授へのヒアリングと資料収集を行った。収集資料を分析し、一部を論文「家庭科の家族学習における問題解決学習の分析-実践的推論プロセスを手がかりに-」にまとめた。また、「実践的推論プロセスを取り入れた授業実践-オハイオ州Bellfontaine高校「人間関係プロジェクト」の実践をもとに-」と題し学会で発表した。さらに、本研究の一部に関わるアメリカの家庭科教育について、書籍の一部にまとめた。 プログラム開発では、小学校の衣生活・消費生活、中学校の家族、保育、食生活・消費生活、高校の食生活・消費生活、家族・ジェンダー、特別支援学校の衣生活、等の授業を開発し、一部については授業効果を分析し論文などにまとめた。 H25年度には、実践的推論プロセスを活用した授業をダイナミックに展開しているオハイオ州Bellefontaine 高校の家庭科教師Marybeth Motasem氏を招聘した。他の研究プロジェクトで招聘したスウェーデンの教育者2名とともに、大阪・金沢・福井で、「生活者を育てるスウェーデン・アメリカの教育-子どもの思考を引き出し問題解決力をつける家庭科」等と題するシンポジウムやワークショップを行い、研究交流をはかった。本研究代表者自身が研究・教育への示唆を得るとともに、教育関係者や学生に広く参加を呼びかけ、研修の機会を提供した。
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