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2013 年度 実施状況報告書

鑑賞教育における図像学的読解メソッドの研究

研究課題

研究課題/領域番号 23531179
研究機関信州大学

研究代表者

岡田 匡史  信州大学, 教育学部, 教授 (30194369)

キーワード鑑賞教育 / 読解的鑑賞 / 鑑賞指導メソッド / マギの礼拝 / 受胎告知 / 絵の時間構造 / 図像学 / キリスト教絵画
研究概要

25年度は,「指導法研究」を柱とした。
『大学美術教育学会誌』第45号収載の論文で主題とした,ジャンティーレ・ダ・ファブリアーノ「マギの礼拝」の題材化を継続・発展させ,25年度は,続く1篇を『美術教育学(美術科教育学会誌)』第35号に投稿し掲載となった。そこでは,『Art Education』誌掲載の同じく「マギの礼拝」を扱う鑑賞題材案2篇を分析すると共に,前掲第45号収載論文で提起した,E.B.フェルドマン式4段階鑑賞法の変則的応用とも解せる7段階で成る鑑賞学習プログラムを一部修正して示した。題材開発に有益と判断し,上記祭壇画から時間構造と関わる諸場面を抽出し,テキストと関連付け一覧化した。
以上に加え,新たな画題として「受胎告知」を選び,同時進行で考察した。この話は,「ルカの福音書(『新約聖書』)」1章26-38節に載り,新共同訳,新改訳,リビングバイブルの3訳で文章を確認した。副テキストとして,「ヤコブ原福音書(『新約』外典)」11章,ヤコブス・デ・ウォラギネ『黄金伝説』50章「主のお告げ(マリアお告げ)」も参照した。26年度論文化を予定する受胎告知画の読解的鑑賞については,第52回大学美術教育学会(京都大会)と,第36回美術科教育学会(奈良大会)の2学会で口頭発表した。
京都大会では,序盤(観察・情報抽出・言語化),中盤(知り調べる学び),終盤(再解釈・味読)の3パートから成る学習過程を提案し,序盤を4段階(見る→想う→考える→記す・語る)で構造化した。奈良大会では,ロベール・カンパン「メローデ祭壇画」を取り上げ,図像解釈を学習の中心軸とし,多種図像の主題的類別を試みた。①観察+記述,②分析+解釈,③討議,④製作活動で成る先行題材(『Art Education』誌掲載)を精査。写真鑑賞題材(同誌掲載)も取り上げ,VTS型鑑賞メソッドと読解的鑑賞の相違点にも論及した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

◎『Art Education』誌掲載の鑑賞題材諸篇の重点的分析により,読解的鑑賞を進める上で,有益かつ効果的な指導法が明らかとなってきたから。
◎7段階鑑賞学習プログラム(修正版)の6番目の学習展開の為の基礎資料とすべく,テキスト研究を土台に,主要画面の時間構造とそれを体現する種々表現方略(異時同図法等)が整理・一覧化できたから。
◎「マギの礼拝」に続く重要な画題として,秀逸な絵を多数生んだ「受胎告知」を選んだことにより,テキストと絵の関係をより多角的に見ることができるようになり,序盤・中盤・終盤3局面で成る指導手順も考案・提起できたから。
◎読解を中核とする鑑賞題材の構想に役立ちそうな,国内開催の諸種展覧会(西洋美術・日本美術問わず)を積極的に鑑賞することを通して,題材開発に求められる様々な観点やアイディアを学べたから。

今後の研究の推進方策

26年度も,25年度同様,文献研究が主体となり,特に読解的鑑賞に適した絵が集中するルネサンス期の研究書・作品資料類や鑑賞指導関係書籍の調査研究が中心となる。そのことと共に,読解的鑑賞題材開発の基盤たる作品体験・リサーチ・教材研究を一層拡充すべく,より多くの展覧会(ジャンル問わず)を幅広く鑑賞したり,全国附属学校の公開研究会に参加したりしたく考える。次は「鑑賞題材開発」が柱となるので,構想した鑑賞題材の問題点を明瞭とし,その解決を模索する為,附属学校での多面的検証が実現するよう努める。

次年度の研究費の使用計画

当初計画していた研究会参加・展覧会鑑賞等が行えなかった為,次年度使用額が生じた。
25年度未使用額と26年度請求額とを合せ,研究会参加・展覧会鑑賞等の旅費や研究書・作品資料類・鑑賞指導関係書籍の購入費用に充てる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ジャンティーレ・ダ・ファブリアーノ「マギ(東方三博士)の礼拝(1423年)」の題材化―キリスト教絵画の読解的鑑賞の実験的試みの一提案:テキストと時間構造の焦点化―2014

    • 著者名/発表者名
      岡田匡史
    • 雑誌名

      美術教育学(美術科教育学会誌)

      巻: 第35号 ページ: 193~209

    • 査読あり
  • [学会発表] ロベール・カンパン「メローデ祭壇画(1425-30年頃)」の読解的鑑賞の提案2014

    • 著者名/発表者名
      岡田匡史
    • 学会等名
      第36回美術科教育学会(奈良大会)
    • 発表場所
      奈良教育大学
    • 年月日
      20140329-20140329
  • [学会発表] 「受胎告知」の題材化―キリスト教絵画の読解的鑑賞の一例―2013

    • 著者名/発表者名
      岡田匡史
    • 学会等名
      第52回大学美術教育学会(京都大会)
    • 発表場所
      京都教育大学
    • 年月日
      20131012-20131012
  • [備考] 信州大学研究者総覧(SOAR-RD)

    • URL

      http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/profile/ja.gaymHNDm.html

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公開日: 2015-05-28  

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