研究課題/領域番号 |
23531180
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
八木 雄一郎 信州大学, 教育学部, 准教授 (80571322)
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研究分担者 |
岩男 考哲 信州大学, 教育学部, 講師 (30578274)
藤森 裕治 信州大学, 教育学部, 教授 (00313817)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 言語の教育 / 国語力 / キーコンピテンシー / 現代語 |
研究概要 |
(1)学習指導要領の改訂年次(1947(昭和22)年、1951(昭和26)年、1956年(昭和31)年、1961年(昭和36)年、1971(昭和46)年、1980(昭和55)年、1992(平成4)年、2002(平成14)、2011(平成23)年)を区切りとし、戦後の「言語の教育」の思潮の変遷と「現代語」の位置づけを明らかにするための調査を進めた。主に八木、藤森が担当した。その結果、従来の研究においては、戦後の「言語の教育」に関する議論・思潮の変遷のダイナミズムの中で「現代語」を捉えることができていなかったが、本調査を通し、「現代語」の成立・消滅の国語科教育史上における位置づけを定め、「現代語」の成立・消滅が持つ意味についての共通認識を持つための基盤的な情報の獲得と整理を行うことができた。(2)1989(平成元)年度高等学校学習指導要領において設置された「現代語」の教科書として、検定を通過した計6社(東京書籍、三省堂、明治書院、角川書店、尚学図書、第一学習社)の教科書について、現代言語学の知見に基づく分析を行った。主に岩男が担当した。従来の研究における「現代語」教科書の分析は、教材・単元の構成に関するものが中心であり、「現代語」教科書に内在する言語観について、言語学の知見から専門的な分析をほどこしたものが存在しなかったが、これにより、「現代語」が提示しようとした「言語の教育」の姿を精密なレベルで明らかにし、「言語の教育」の問題として「現代語」を捉える方法論を確立するための視座を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、以下の4点を研究上の課題として立てている。(1)歴史的研究の立場からの包括的な問題の把捉(2)現代言語学の観点からの「現代語」教科書の分析(3)「現代語」の科目および教科書の作成過程の実態検証(4)海外における「言語の教育」との比較研究。このうち、平成23年度においては、(1)と(2)についての考察、分析を進めることができた。これは、当初の研究計画の予定とほぼ一致しているため、(2)の評価に至った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上記の4点の課題のうち、特に(3)および(4)に関する課題に取り組んでいくこととする。すなわち、まず「現代語」教科書編集者たちへのインタビュー調査を通して、教科書の編集過程においで議論された「言語の教育」のあり方を明らかにする。編集者たちが「言語の教育」の具現化をどのように図ろうとしたのかを、編集者たちの声から浮かび上がらせていく。さらに、西欧諸国における「言語の教育」の実態を調査し、日本におけるそれとの比較を行う。それによって「言語の教育」の強調や独立が成立する条件について検証していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究2年目は、前年度に引き続くかたちで文献の収集と整理が行われるため、その購入・複写費を計上している。さらに、教科書編集者たちへのインタビュー調査を開始するため、インタビュー内容の記録・整理のための電子機器の購入が求められる。また、インタビューを受ける調査協力者への研究協力謝金、データ処理作業のために学部生および大学院生を雇用するための費用も計上している。なお、1年目については、当初計画で見込んだよりも安価に研究が完了したため、次年度使用額が生じた。
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