研究課題/領域番号 |
23531180
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
八木 雄一郎 信州大学, 教育学部, 准教授 (80571322)
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研究分担者 |
岩男 考哲 信州大学, 教育学部, 准教授 (30578274)
藤森 裕治 信州大学, 教育学部, 教授 (00313817)
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キーワード | 言語教育 / 現代語 / 学力 / 言語学 |
研究概要 |
本年度は、平成元年版高等学校学習指導要領(国語科)において新設された「現代語」が科目および教科書として成立するまでの過程と、それが学校現場に浸透せずに短命に終った要因について、昨年度に続き継続的に調査を行った。 具体的には、まず昨年度に引き続き、学習指導要領の改訂年次を区切りとし、順次調査を進めながら、戦後の「言語の教育」の思潮の変遷と「現代語」の位置づけを明らかにするための調査を行った。筑波大学附属図書館などの所蔵資料の複写・整理を行い、通時的に言語教育をめぐる議論を分析している。この調査によって、これまで看過されてきた言語教育論の変遷についての包括的な議論を行うための基盤ができつつある。 また、これも昨年度に引き続き、「現代語」の教科書として教科書検定を通過した計6社(東京書籍、三省堂、明治書院、角川書店、尚学図書、第一学習社)の教科書について、現代言語学の知見に基づく分析を行った。言語学の専門的な視点からの分析により、言語教育が求めてきた言語のあり方についての特徴が浮き彫りになりつつある。 さらに、「現代語」教科書の編集に携わった人物たちへのインタビュー調査を行う準備も整えている。そのために、自身が「現代語」教科書編集に関わった経験のある藤森が、自身が編集に携わった際の資料などもとに、当時交わされた議論の回想と整理を行った。これによって、これまで明らかにされてこなかった、国語科カリキュラムの生成過程の一端が明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査に関しては予定通り進行している。一方で、インタビュー調査に関しては、当時編集に携わった人々の急逝などがあり、ブッキングに少々手間取っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる25年度においては、文献調査およびインタビュー調査を組み合わせた、総合的な見解を示すことを目標とする。歴史的アプローチと言語学的アプローチ、さらに質的研究のアプローチから、「現代語」をめぐる課題と、これからの言語教育についての展望を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度に予定したインタビュー調査がH25年度に延期となったため、約60,000円の未使用額が生じた。これを加えたかたちで、H25年度の予算執行を行う予定である。文献調査およびインタビュー調査のための出張旅費が中心的な予算の使用目的となる。また、文献購入や、文献複写のための機器なども随時購入する予定である。
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